咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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【前世物語②】マリアンヌの罪 (前編)
作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?


【前世物語②】 マリアンヌの罪(前編)


時は中世フランス。

セーヌ川のほとりは、洗練された街並みだが、一歩路地裏へ入るとそこは悪臭に満ちていた。そんな貧民街でマリアンヌは私生児として産み落とされた。マリアンヌの母は男出入りが激しかった。
「男を繋ぎとめるためにアンタ(マリアンヌ)を産んだのに! この役立たず!!」
そう言って母はマリアンヌを罵倒した。だが、肝心な男の心を繋ぎとめることは出来なかったようで、マリアンヌは物心ついたときから“父親”の存在を知らなかった。そんな母の言葉聞いてマリアンヌは思っていた。
「へぇ~! そんな考え方もあるんだ~! 男を繋ぎとめるために妊娠して男の子どもを産む。そんなやり方もあるのね~!」
マリアンヌは恐ろしいくらいに冷静な子どもだった。
「アンタを産んでおくと何となくお得な気がしたのよ! だから産んだのさ! ハッハハハ~」
母は自嘲気味に笑ったが、冷静なマリアンヌにもその言葉の意味はよく分からなかった。

母が男を連れ込む度に、マリアンヌはこっそり家を出てセーヌ川で一人遊びをしていた。周囲はカップルでいっぱいだった。そんな中、糞尿を川に捨てる者も居た。熱い男女の抱擁と糞尿の悪臭が混在する世界に、幼いマリアンヌはくらくらしていた。だが、次第にそんな光景にも慣れていった。

母は男とうまくいかないとヒステリックに怒鳴りちらしていた。が、貧しい暮らしの中でパンが手に入ったりすると、母は幸福そうに笑いマリアンヌにも優しかった。そんなひとときがマリアンヌは好きだった。どうしょうもない性格の母ではあるが、マリアンヌは母の傍にずっと居たいと思っていたし、かけがえのない存在だと思っていたのだ。


マリアンヌが10歳になった頃、母に連れられてセーヌ川のほとりにある大聖堂(教会)に来ていた。
「すっ、すごーい」
マリアンヌは教会の建物の内装の豪華さに無邪気に歓声をあげていた。そして、やや年配の修道女と引き合わされたのだ。マリアンヌは修道女の柔和な微笑みにえも言えぬ安らいだ気持ちを覚えた。

だが、マリアンヌはすぐに事態を察した。母はマリアンヌを捨てようとしていたのだ。母は最近付き合い始めた男と結婚をするために、マリアンヌを教会に預けようとしていたのだ。しかし、マリアンヌはあっさりと教会行きを決断した。
「教会へ行く方がマシなような気がしたからよ。仮にごねて母の男の元へついて行ったとしても、幸せになれっこはないと思うわ!お荷物になるだけだし。母と離れ離れになるのは辛い。だけど、教会で暮らしてみたいわ! 修道院のおばさんもすごく優しそうな人だったし」


次の日から、マリアンヌは修道女の修行の日々が始まった。しかし、マリアンヌはそれを嫌だとは思わなかった。文字の読み書きを覚え、夢中で聖典を読みふけった。清掃や数々の奉仕活動も嫌がらずに取り組み、むしろ喜びを見出していた。パンと水と時々チーズが付くだけの貧しい食事ではあるが、毎日食べられるだけで幸せなことだと思っていた。母と暮らしていた日々とは全く違い、全てが新鮮で輝やかしかった。

修道女たちの生活は結構忙しい。毎日神に祈りを捧げているだけのゆったりした生活だと思われているが、とんでもない。おびただしい数の聖典を読み勉強し伝道活動をしたり、ハーブや伝承医学を施して多くの人々を救いに導いたり。又、縫い物や刺繍をしたり、パンやチーズや保存食を作り売ったりして、それらは修道院の収入源ともなっていた。さらに、教会と併設の孤児院などの子ども達の世話もあったので、朝早くから夜遅くまで働きづめで睡眠も満足に取れないくらいだった。もちろん、祈りや儀式の時間も欠かさなかった。



慌しく日々は過ぎ、マリアンヌは17歳になっていた。

ある日、お使いを頼まれてセーヌ川のほとりを一人で歩いていた。外を出歩くのは久しぶりで羽をのばしたような気持ちになっていた。周囲は愛を交歓しあうカップルで一杯だった。マリアンヌはその光景を微笑ましく眺めならがも、どこか羨ましさが募ってくるのを隠せなかった。通常なら、マリアンヌとて恋の1つや2つ覚える年齢であろう。しかし・・
「私は修道女だから!!」
キッパリと言い放ち、背筋を伸ばして周囲を見ないようにして早足で歩き始めた。

修道女(士)は、基本的に恋愛・結婚・性交渉はご法度である。しかし、マリアンヌも年を重ねるごとに修道院の嫌な部分も見えてくるようになった。恋愛は禁止と言われながら、“恋心”をつらつらと語る修道女も少なくなかった。ただ、この場合は片想いのみが殆どだったのでまだ良かった。だが、中にはこっそり性交渉まで持つ者も居て、周囲は見て見ぬフリをしながらも興味本位な噂話になっていた。

修道女の模範生と言われていたマリアンヌは、こういう類の噂話は大の苦手だった。潔癖な性格もせいもあったが、“いいかげんな人間”を知ると母を思い出し嫌な気分になるからだった。マリアンヌは母のようにはなりたくないと思っていた。しかし、実際には恋愛に憧れる気持ちも少しは持っていたが、その気持ちは抑える方向へ持っていった。


日々が経ち、マリアンヌが20歳になった頃、今までの働きぶりが認められ修道女として“高い位”が与えられると言う話が持ち上がった。

だが、マリアンヌは素直にその話を喜べず、考え込んでしまったのだ。
「修道女の仕事は好きだし、やりがいもあると思っている。でも、その“位”に就いてしまったら・・、もう一生・・本当に一生涯・・神に捧げる人生となる。本当にこれでいいんだろうか?」
マリアンヌは1度こうと決めたら貫きたい性格である。マリアンヌは、生涯恋愛も結婚もせずに本物の修道女の道へ進むという方向に、迷いを感じ始めていた。

マリアンヌは生まれて初めて“迷い”というものを知った。母から修道院へ連れて来られた日ですら、一寸の迷いもなく鮮やかに決断したものだったのに。迷いにさいなまれる苦しい日々が続いたが、とうとう決断を下さなければならない日が近づいた。

<前編終わり・中編へ続く>


テーマ:心、意識、魂、生命、人間の可能性 - ジャンル:心と身体

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