咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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【短期連載小説】 大奥★社内恋愛 4(最終章)
イケメンと関わる女たちの行方は・・?
大奥総取締役の真砂子は・・?
怒涛の最終章です。


大奥★社内恋愛 4 (最終章)

※このストーリーはフィクションです


沙耶が真砂子に口汚く怒りをぶつけているところへ、突如、沙耶の携帯が鳴った。
「あらぁ~! もしもし。おつかれさまですぅ。うん、うん。がんばってるわよぉ。 えっ、風邪? あらぁ~、それは大変だわぁ。ムリしないほうがいいわぁ・・・」
沙耶の口調が180度変わり、1オクターブ高いぶりっ子声になった。その変貌ぶりに、真砂子は拍子抜けし椅子から転げ落ちそうになった。電話の主は龍星からだと分かったが、ウワサには聞いていた“龍星の前ではガラッと態度が変わる”を目の当たりにし、改めてその芸当に驚いていた。
「編集長、龍星、風邪みたいなの。早退させてあげてもいいかしら?」
呆気に取られていた真砂子は、つい首を縦にふってしまった。
「早退の申し出は、本人が直接言ってくるのが常識じゃない。小学生じゃあるまいし。保護者気取りするなんて・・」
少しムッとして思っていたが、再度、沙耶にミスの件を念押しし、お互いデスクへ戻っていった。

その後、真砂子は部長から呼ばれ、沙耶のミスの件や“最近、連帯感に欠けている”などと、クドクドとお説教をされた。これが中間管理職の現状なのだ。

午後10時を回り、社内の半数以上が帰宅した中で、真砂子はどうでもいいことで費やした時間の為に遅れた仕事を取り戻すようにこなしていた。
「編集長、良かったらコレ、ど~ぞ! 疲れた時は甘いモノが一番よ!」
目の前で美夏が新製品のチョコレートを、真砂子に差し出していた。
「あっ、ありがとう~」
真砂子は目をうるませて有難く受け取った。空気が読めないと言われている美夏からの気遣いが、心身ともに疲れ気味の真砂子の心に深く染み渡った。気持ちが和んだところで、真砂子は普段は言わないようなウワサ話的な会話へ走っていた。
「あの、沙耶の変貌ぶりを初めて目の当たりにしたけど、す、すごいわね。ある意味関心しちゃったわ。ねえ、あなたも好きな男性の前では変わるものなの?」
「あ~はっはははは~! 編集長って意外とオボコなんですねっ。当たり前じゃなぁ~い! 変わるわよ、男の前では~! まっ、沙耶ほど露骨ではないけど、大なり小なり誰でもあるわよ~。それで、ヤツらはいい気分になるんだからぁ。結婚にこぎつけるまでは騙すかしらね。ぶっふふふ・・」
「へぇぇぇ・・そ、そうなの? 騙す?・・の?」
「あら~! 男だって、騙すじゃない! お互い様よ。調子のいいこと言っちゃってさ~!」
真砂子は、男と女のドロドロとした駆け引きみたいなコトに、内心身震いをおこしていた。美夏の言う通り、“自分はオボコ”なんだと改めて思っていた。
「でもね、編集長、ひょっとしたら沙耶のは演技じゃなかったりして。たまに居るんですよ。好きな男の前ではボーッとなって、無口になって相手の言いなりになっちゃうような人。普段気が強い子ほど、そのギャップが激しかったりするかも」
真砂子は関心していた。
「“天然”ぽい子が案外と的を得たことを言うんだなぁ」

しばらくの間、真砂子は集中して仕事をこなしていると、クライアントから緊急の連絡が入った。大至急手直しをしてほしいとのことだった。それは沙耶の担当の箇所だったので、沙耶の携帯を鳴らすが、いっこうに出なかった。自宅に電話しても不在だった。そして、真砂子は立ち上がり、ある場所へ駆けつけた。それは龍星のアパートだった。

案の定、アパートの駐車場に沙耶の姿があった。だが、別の女性と口論の真っ最中だった。その女性こそが、龍星の二股の相手なのだろうと真砂子は思ったが、今は緊急事態な為、二人の間に突入していった。
「沙耶、大至急会社に戻って手直しして!」
そして、もう一人の女性にも言った。
「龍星の病気見舞いに来たんでしょ。あなた、行って看病してあげて!」
それを聞いた沙耶は立腹し、真砂子に掴みかかろうとしていた。
「やることはキチンとやってから、恋愛ごっこはして頂戴!」
真砂子はいつになく強い口調で言うと、沙耶はわんわん泣き出し、しぶしぶ車に乗り会社の方へ行った。
「沙耶、女だからって、すぐに泣くのは止めてくれる!」
そのセリフを沙耶は聞いてはいなかった。もう一人の女性は呆然として、真砂子に軽く会釈をして龍星の部屋へ消えて行った。

一連の騒動が一段落し、社内は真砂子と沙耶の二人だけになった。
「もう、龍星と別れる!!」
そう沙耶が言うと、真砂子は引きとめようとしたが
「龍星に振り回されるのは、もう懲り懲りよ。さっき、別れのメールを送ったわ!」
沙耶は、龍星からのメールの内容を片っ端から消していっていた。
「それで・・本当に・・いいの?」
真砂子がたずねると
「いいんです!」
沙耶はキッパリと答えた。


数日後、再び事件が起こった。今度は何と! 龍星が突然会社を辞めることになったのだ。けして“円満退社”ではなかった。部長とのケンカが原因だった。社内の女性たちは龍星に同情的で、一部の人で内密に送別会を開いた。だが、真砂子も沙耶もそれには参加しなかった。

数週間後、今度は、龍星と沙耶がヨリを戻したことを聞かされた。龍星が二股をかけていた女性の方が“身を引いた”ということだった。龍星は、沙耶と別れてから、沙耶の存在の大きさに気付き、自分のしてしまった行為に後悔ばかりしていたというのだ。

だが、龍星は現在無職で就職活動もうまく行ってない様子だった。そんな龍星を沙耶は生活の面から支えていた。

龍星の居なくなった会社は火が消えたように寂しくなり、また以前の“女ばかりの会社”に戻った。だが、それはある意味平和で仕事もよくはかどり、真砂子はかえって安堵していた。

そんな中、香奈もが辞めることになった。
「龍星の後追いなんかじゃないわよ! ・・ってか、最近龍星に会ってないもんね~。龍星、バンドも辞めちゃったし、なんか~、つまんない男になっちゃったーって感じ。私は、もっと自分を高められる人と交流がしたいのよね! あ、そうそう、ココ辞めたらね、東京に行くの! ずっと前からね、東京のデザイン事務所で働きたかったんだ!」
「あら、香奈なら大丈夫よ! 東京でも通用しそうだわ。うん、がんばってね!!」
真砂子は香奈のチャレンジ精神を心から応援し、門出を見送った。


それから2年の月日が経った。

真砂子は、相変わらず女ばかりの会社で編集長として奔走していた。そして、沙耶は1年前に結婚退職をしていた。沙耶は、ついに龍星と結婚ができたのである。

ある日、真砂子は外出先の途中で偶然、龍星に会った。実は龍星の方から声をかけられたのだが、すぐには龍星だと気づかなかったのだ。なぜなら
「龍星って、もっとイケメンだったはずじゃなかったけ?」
と、思ったからだ。目の前の男性は、薄くなった髪に寝起きのままのようなセットしてない髪型で、やつれたような顔だし、すっかりオーラもフェロモンもなくなってしまっていたのだ。

龍星は、公園で1歳になった自分の娘と遊んでいた。
「真砂子さん、結婚しないんすか?」
「あっははは~! 相変わらず仕事に追われていて~。もう、全然そんな予定もないわね」
「そうなんすか。でも、子供っていいよ。ホント。こんなに可愛いものだとは思わなかったよ」
娘を抱き上げる龍星を見て、真砂子は苦笑いをしていた。世の中には、パパになってもオーラもフェロモンも保ったままの男性も居るが、今の龍星はすっかり削げ落ちてしまっていた。真砂子は、今までくすぶっていた龍星への想いもすっかり醒めてしまった。まるで夢から醒めたような感覚だった。
「龍星、結婚して・・今、幸せ?」
真砂子は、純粋に疑問に思い聞いてみたのだ。
「うん。まあ、そうだね・・」
それから少し間があって

「結婚って・・・、本当に好きな人とは、できないものかもしれないね」

その言葉に、一瞬だけ、生暖かい風が真砂子の頬を伝った。
「でも、俺、今幸せだから~」
龍星の言葉を遮るように遠くから、沙耶の呼び声がしてきた。
「あら~、編集長、久しぶり!!」
沙耶は仕事をしていた時代の“キツさ”が取れて、穏やかな柔和な顔立ちになっていた。そして、幸せオーラが漂っていた。それから、子供の面倒は龍星に任せて、真砂子と沙耶は二人っきりで公園のベンチで話を始めた。
「今だから言うわ。龍星ね、最初は編集長のことが好きだったの。だって、龍星からしてみたら、編集長ってバリバリのストライクゾーンなんだもん。年上好きだし、私と違って優しくて知的で穏やかだし、美人だし。・・だから、編集長には絶対に負けたくなかったの! 龍星の携帯もチェックしてて、私以外とメールのやり取りもさせないようにしたし。今思えば・・ホントに必死だったわ。でも、やっと夢が叶って結婚できた!」
真砂子は、沙耶のことが“長距離レーサー”のように見えた。恋とは“過酷なレース”でもあるのだ。時にライバルを蹴落としたり、自身も傷ついたりしながら走り抜かねばならないのだ。そして競争に勝った者だけが甘美に酔えるのだ。そんな弱肉強食のような男と女の世界に、真砂子は身震いがしていた。
「私は香奈みたいに才能もないし、すごく結婚がしたかったのかも。だから良かったの」
真砂子は、沙耶に龍星のことを聞いてみた。
「龍星、今、普通の製造会社で働いているの。デザイン業界はお金にならないって、私たちのためにね。それでも生活は大変で・・。小さなアパートでつつましく暮らしてるわ。龍星、前みたいにカッコ良く無くなった・・って思ってるでしょ!・・・いいのよ。むしろその方がいいの。ヘンにモテて女性関係で悩むのはもう懲り懲りだもん」
だが、真砂子は思っていた。
「そういう考えもあるのか~。でも、もし自分だったら、いつまでも素敵で輝いている男性で居てほしいなぁ・・って思うけどなぁ」
そして、真砂子は龍星と沙耶を背にして、背筋をピンと伸ばしハイヒールを鳴らし、仕事の現場へと戻っていった。


仕事の忙しさが一段落ついたある日の午後の編集室、女同士で雑談に花を咲かせていた。
「ウチの息子ね、芸能事務所のオーディションに合格したんだよ~! 私もステージママとしてがんばんなきゃ~うふふふ」
早苗おかあさんが言うと、皆はその息子の画像を見せるよう促した。お世辞にもイケメンとは言えないのだが
「うん、爽やかな感じね」「背が高いのね・・」
などと言ってその場を誤魔化した。早苗おかあさんは、龍星のことはすっかり過去のことのようで、今は息子可愛いがりに奔走していた。

「美夏、また振られたよぉ~! えーん」
「あらら・・、例の彼と結婚寸前って言ってたのに?」
「そうなの。ホラ、美夏、仕事が忙しいじゃない。それが不満みたいだったの」
「そんな男、別れて正解よ。今どき、仕事に理解のない男なんてダメ!」
「そうそう、彼女依存男は絶対にダメね! 結婚して苦労するわよ~」

「美夏が10年後も、独り身でこの会社に居ることに・・賭けるわ!」
真砂子が言うと、皆はドドッと笑った。
「ちょ~っとぉ! ひっど~い!!」
美夏がボケると、ますます笑いを誘った。

「ところで編集長、部長とは・・どんな感じなんですか?」
唐突な質問に少し顔を赤らめていた。
「あ、あの~ねぇ・・、皆が想像しているようなことは・・全く・・ナイから~! ホントにね、時々ただ食事をするだけなのよ」
実は、1年前に嫌われ者の部長が移動になり、新しい部長が赴任してきたのだ。新しい部長は50代前半で既婚だが、格好良くてダンディーで優しく、社内の女性たちに慕われていた。真砂子の仕事ぶりも認めてくれていた。真砂子は、以前よりも仕事を楽しいと感じるようになっていた。
「その・・、私、不倫とか・・好きじゃないから! うん、うん」
「ふーん・・」
「ふーん・・」
周りの女性たちは、含むような相槌をしていた。

以前、沙耶から
「いつまでこの会社に居るつもり?」
と、聞かれたが
「この“大奥”が結構合っており、心地良い」
と、真砂子は感じていたのだった。

<完>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント


ん~、良いオチっす。
納得できスッキリしました。

龍星のような男っていますよね。
なんだろ。上手く言えないけど
モテていると舞い上がって
自分の事しか狭い範囲で見えなくて
結局、あ~ゆ~人生選ぶ人っていますよね(笑)

女って
色んな意味で菩薩だと思うけど
その反面、魔物だとも思うんです。

特に結婚。
選んだ(意図的に選ばされた?)女によって
独身時代の面影なく、ただのクタビレたオッサンになったり
さんざん振り回されて、仕事から人間関係から全部ダメにされたり。
女って、それだけのパワー持ってると思うんです。

でも、選んだ女が成功な場合は
独身時代パッとしなかったのに
なんか貫禄あるオーラが付いて素敵な紳士になって
仕事も人間関係も全て上昇気流にのれる場合もある。

そういう意味でも
勝負って最後まで解らないかも・・・
【2009/10/16 12:51】 URL | あっち #- [ 編集]

●あっちへ
オチを気に入ってくれて良かったっす(嬉)
実は、自分でも気に入っているのだ~(笑)
シニカルで性格ワルイよね<自分(笑)

龍星のような男って現実によくありませんか?
モテるということは、本当は特殊な状況だと思うんです。
女の集団の特性は視野狭くなりがちで、例えば女にサッカーをやらすと
ボールの周りばかりに集まるんです。バスケでもそうかな。
そのボールが男みたいなものですね~。
ちょっとイケメンなだけなのに、すごくイイ男に格上げに見えちゃったりするんですね~。
・・で、男はそれに気づかず、舞い上がる!
だから、龍星のような男って、案外気の毒かも~(笑)
最後は女たちから吸い取られてしまって、スカスカで・・

結婚後にイイ男になるか、クタビレ男になるか・・
女房にかかってるかもしれないですね~(笑)
女は、菩薩VS魔物!!・・まさにそうですね☆
下手すりゃ~、破壊させるだけのパワーも持ってるんですよね・・
実は怖いんですね・・私たちオナゴって!(笑)
【2009/10/19 11:37】 URL | sakuya #- [ 編集]


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