咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第39話~「不倫日帰り旅行」
自分に正直に生きたいだけなんです。

※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第39話~「不倫日帰り旅行」



高尾の結婚披露宴の後、朋乃は丸山部長と落ち合った。セクシーなドレス姿を披露したかったのもあった。その日はいつもに増してドラマチックに燃えた。

「二人だけで、何処か遠くへいきたいわ」
「今度、日帰り旅行しないか? 有給休暇を取るよ。平日の朝から夜まで露天風呂付きの旅館を貸しきって、1日中のんびりしたいね~」
「ああ、いいわ! 何としてでも行こうね。朋乃、もうまるっち無しでは生きてゆけない! ずっと、一生・・こうして付き合ってゆきたいわ。朋乃たちは背負ってるものが大きいから、全てを捨てて一緒になるのは不可能・・。だから、せめて・・長い年月一緒に居られたらいいかなぁ~って思うの」
丸山部長は、ただ黙って頷くだけだった。それが少し寂し気なのが朋乃には気になっていた。


数日後、朋乃はM男君に偶然会ったことを彩香に伝えたが、彩香は思ったほど驚かなかった。
「イタリアンのシェフ?! 何だかますます遠い世界の人になっちゃった感じだわ。うーん、特に会いたいとは思わないなぁ。美月がどうしても会いたいって言うなら、会ってもいいけど・・」
「実はね、二人を復縁させようか・・なんて考えたのよ。ホラ、今お互いフリーだし。でも、何となく止めたわ。『彩香は元気よ。彼氏も居るわ!』なんて言ってしまったわ」
「あ、それウソじゃないよ」
「ええーっ、もう?いつの間に?! 渡邊さんが亡くなってあんなに悲しんでいたのに・・」
「うん、もうだいぶ経つし。でも、渡邊さんのお陰で出会えたようなものよ」
「何~! ちょっと! その話、詳しく聞かせてもらいましょうか!」
相変わらず彩香は変わり身が早く、新しい話題を提供してくれる。彩香によると、渡邊さんが亡くなって3ヶ月後に、渡邊さんの親類の男性が施設を訪ねて来たという。その男性は、渡邊さんの弟の孫にあたる人で、名前は『渡邊蓮』と言い、年齢は21歳だった。

「初めまして。いや、実は初めましてじゃないんだけど、渡邊画伯の葬儀の時から、あなたのことが気になってました。あなたに見せたいものがあるんです」
そう言って、蓮は風呂敷包みを開けた。その中には、渡邊さんが彩香のために描いた絵があったのだ。
「こ、これは・・・」
「渡邊画伯の遺品の絵は、殆ど祖父が所有することになりました。その中にこの絵があって。俺、ひと目でこの絵が気に入ったんです。祖父に無理言って、この絵を譲ってもらいました。俺にだって、“遺産”を相続する権利があるもんな。・・で、実はお願いがあるんだけど・・・・」
「えっ?」
「この絵の共同オーナーになってくれませんか?」
「それって・・・?」
「この絵は、本来ならあなたが持つべきものなんです。それが渡邊画伯の願いです。絵の裏にそのように書いてあります。しかし、祖父が強引に持ち帰ってしまいました。でも、これも縁かもしれません。俺もこの絵を手放したくないし、どうです? いい提案だと思いませんか?」
「はい」
彩香は、蓮という青年の話を終始微笑みながら聞いていた。蓮の言わんとしてることが即分かったのだ。遠まわしに言うところが紛らわしいけど、可愛らしいと感じていた。亡くなった渡邊さんが連れてきた“縁”ではないか・・と思ったのだ。

「ふーん、・・で、即付き合いに発展したわけだ~! 相手の本心をすぐ見抜くあたり、さすが本能女ね。 今度の彼は年下だね? 見た目はどんな感じ? カッコイイの?」
「ええ! 背が高くってビジュアル系よ。専門学校で美術の勉強をしてるんだって」
「げっ、学生! 将来は考えられそうにないじゃん」
「さすがにもう結婚は懲りました」
と、彩香は笑っていた。朋乃は、極めて異性との出会いが少ないであろう老人施設でも出会いをキャッチする彩香の恋愛力の強さに感心した。おそらく、彩香はピュアで邪念がないから深読みもしないのだろうし、そこがよいのだろうかと思ったのだ。

「邪念といえば、朋乃は邪念だらけだなぁ~」
と、朋乃は思った。結婚して子供が居ても彼氏を作ったし、彼氏を愛してると言いながら、家庭を捨てることも壊すことも出来ないのだ。



丸山部長と日帰り旅行の日がやってきた。家庭の主婦がデートの時間を工面するのは大変なことである。しかし、やろうと思えば何とかなるのである。一番の気がかりは、子供たちが急に熱を出したりとの病気の心配だった。当日までドキドキして過ごしたが、何とか大丈夫だったので、いつものように嘘の用事を作って実家へ預けた。

丸山部長の車は高速に乗りひたすら走っていた。県境を越え山奥へ入り、秘境と呼ばれるような場所に風情のある旅館あった。ここの旅館は離れ式になっており、1棟1棟に露天風呂が付いている。この離れを今日は1日中貸しきることが出来るのだ。窓を開けると近くに渓流があり、素晴らしい自然のロケーションに、朋乃は気持ちが開放的になっていった。
「わ~! まるっち素敵~! いい所ね~。普段頑張ってるから・・ご褒美よね!」
二人は、一緒にゆっくり露天風呂につかりリラックスしていた。秘境でおしのび温泉旅行とは、不倫の王道である。部屋食で指向を凝らした昼膳をゆっくり楽しみ、ゆっくり愛し合い、何度も頂点に達し、また露天風呂に入って、外を散歩し、また愛しあって、まどろみながら会話して・・・時間を気にせずに過ごせることとはこんなに贅沢なことか!・・と改めて思ったのだ。

「朋乃は普段育児も頑張っている。主婦としても頑張っている。仕事だって頑張っている。毎日時間に追われている。丸山部長だって同じであろう。だから、こうして非日常を楽しみ、心と体をゆっくりと解き解し癒す。それが明日への活力にも繋がるだろう。愛と癒しがセット・・そんな時間を味わってはいけないのだろうか?」
婚外恋愛は世間的にはイケナイことだということは、朋乃もじゅうじゅう承知していた。
「非難してる人は、いったい何を非難してるのだろうか? “贅沢”だから? 」
朋乃は独身で不倫も体験してるが、この時は相手への独占欲、奥さんへの嫉妬等で胸が締め付けられる程苦しんだ。しかし、今はそれはそれ程でもないのだ。相手の奥さんのことなんて無関心に近かった。朋乃にとって婚外恋愛は今や自分の生活の中にバランス良く組み込まれている感じだった。このバランスを崩したくないのだ。

「彩香のことを “自分に正直に生きてる人”だと思っていたけど、朋乃だってそうかもしれない」
と、思った。
「自分の気持ちにいたって正直に行動している。“気持ち”というより“欲望”に正直と言ったほうが正しいかもしれないわね。ほしいものは、ほしい。誰に何と言われようと!」

旅館を後にし、まだ少し時間があったので付近の観光地を散策した。ふと家族のことが思い浮かび、お土産を買ってあげたいという衝動にかられたが、心を鬼にして止めた。丸山部長とお揃いで色違いの携帯ストラップだけを買った。買ったら、観光地の名前入りの包装紙は即捨て、ストラップはすぐ着けた。“証拠”はどんな小さなものまで隠滅させておかなければ、何処でどう発覚するか分からない。それは、自分たちがリスクのあることをしてるのだという自覚があるからだ。


夕方、朋乃は子供たちを迎えに行くために実家へ向かった。自宅へ帰る車の中で、子供たちとシリトリゲームをし、自分がわざと負けてあげたりして、すっかりママの顔になっていた。実は洋服も途中で着替えたのだ。デート用のセクシー系な服のままではマズイだろうと思ったからだ。この変わり身、朋乃は我ながらいつもスゴイと関心していた。

夕食の時、陽斗くんがご飯を床にぶちまけた。いつもの光景だが、今日は朋乃は叱らなかった。逢瀬の後は、不思議と家族に対して優しくなれるのだ。

<第39話終わり、第40話へ続く>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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