咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第38話~「ロストラブを乗り越えて輝く人たち」
懐かしい人たちとの再会。かっての恋敵の知られざる過去も判明。
成長していないのは朋乃だけ?

※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第38話~「ロストラブを乗り越えて輝く人たち」


レストランの席に、懐かしい顔ぶれがあった。朋乃の結婚以来5年ぶりくらいだろうか。OL時代の、早紀先輩であった。早紀先輩とは、かっては現在の朋乃の夫を巡って、激しく恋のバトルを散らした仲である。朋乃の婚約後、早紀先輩は会社を辞め音信不通となっていた。

朋乃は早紀先輩と目が合うと軽く会釈したが、どう対応していいのか分からなかった。しかし、早紀先輩はニッコリと笑顔で朋乃ほうへ寄ってきた。傍らに5、6歳位の女の子を連れていた。
「こんにちは~、お久しぶりね。結婚生活は順調?」
「ええ、お陰様で何とか4年目を迎えることが出来ました。1男1女にも恵まれてとても幸せです」
「そう、良かったわね。もう随分昔話になるけど、あの頃は・・・ごめんなさいね。恋のバトルをするなら正当に戦うべきだったわ。なのに、私ときたら姑息な手を使って・・・。ああ、思い出しただけでも恥ずかしいわ! 本当にごめんなさい。でも、アナタが幸せなので安心したわ」
朋乃は、早紀先輩から何か嫌味を言われるのじゃないかと怯えていたが、それどころか謝られるし、昔よりとても良い人になっていたので拍子抜けしたのだ。

「そんな昔のこと・・・、忘れてしまっていたわ。それより、そのお子さんは早紀先輩のお子さんですか?」
「実は3年前に結婚したんです。でも主人は再婚で、この子は主人の連れ子なんです。私に懐いてね、この子のお陰で結婚できたようなもんなんですョ。今、ココで仕事してます。良かったら、後で時間が取れたらお話したいわ。では後ほどね~」
と、朋乃に名刺を渡して他の挨拶回りのために去って行った。早紀先輩は現在40歳位だろうか。朋乃は、早紀先輩が結婚していて内心ホッとしていた。そして、名刺をじっくり見ると、大手有名マリンスポーツ用品店の副社長と肩書きがあった。さらに同系列で、『海と戯れるセラピー』主宰で“セラピスト・心理カウンセラー”との肩書きもあった。
「あのマリンスポーツ用品店って、全国に何店舗もある会社よ。ええーっ、じゃあ・・早紀先輩はそこの社長夫人になったんだぁ~! ええーっ! そんなことってあり~! いきおくれのあの先輩が~。30歳過ぎたら、結婚も難しくなるし、一般的には・・いい人も居なくなるのよ。だから朋乃は20代で結婚しょうと頑張ったのに~! 何で!何で! 30代後半でセレブ婚が出来るのよぉ~!」
と、朋乃は叫びたい心境だった。何だか、逆転勝ちされた気分になってしまったのだ。

そうこうしてる内に、会場に綾さんが入ってきた。綾さんに会うのも久しぶりだったが、朋乃は驚いて思わず声を上げた。
「あ、綾さん! もしかして・・・オメデタ?・・ですか?」
「イェ~イ!! 今8ヶ月目に入ったところよん。もう嬉しくって! 実はもう1人欲しかったからさぁ!」
綾さんのお腹の子は3人目である。
「40歳近いのに妊娠できるなんてスゴイ! 高齢出産なんて・・」
と、朋乃は驚いていた。しかし、もっとスゴイのが綾さんのファッションだ。 黒のレザーで、背中も胸も開いてセクシーな網の装飾が施してある。まるでSMの女王様のようだった。大きなお腹は、隠すより強調していた。けど、それが誇らしげに見えて格好良く見えた。
「ふふふ、この服に驚いているわね。コレね、特注で作らせたのよ! だってさぁ~、妊婦服って何でか皆、ふわふわピラピラ優しげ~なのばかりなんだもん。もっとセクシーで格好イイのがあってもイイはずなんだけどな~。だから、自分で作っちゃった!あはっ」
「ええーっと、今もあの会社で仕事はしてるんだよね?」
「もっちろん! この日のために、私、妊娠・出産しても働きやすい環境作りに頑張ったんだよ~」
「相手・・は、やはりあのひと回り年下の彼? その彼と再婚されるんですか?」
「ええ、そうよ。でも・・・結婚は・・・今のところ分からないわ~。子供たちに反対されてね。でも『赤ちゃんは、あたしらが育てるから~~』って、頼もしいことを言ってくれたのよ。子供たちも赤ちゃんの誕生を楽しみにしてくれてるのよ」

そして、いきなり会場の照明が暗くなり新郎新婦が入場してきた。白いウエディングドレスの高尾と、タキシードの新郎はイタリア人のイケメンだった。入場したとたん、高尾たちの仲間であろう外国人たちがワッと取り囲み、クラッカーを鳴らしたり、紙吹雪を飛ばしたりしていた。パーティは陽気にざっくばらんにスタートした。

新郎の名前は「フランチェスコ」といい、なれそめは高尾が通ってる語学教室の主催するパーティで知り合ったそうだ。パーティでは、新郎新婦の席に招待客が自由に行き来していた。朋乃もお祝いの乾杯をしょうと高尾の席に近づいた。
「おめでとう! 驚いたわ! こんなに早く結婚するなんて!」
「それは私が一番驚いたわ! もう予定外だったから。でも、背中を押してくれたのは朋乃さんの言葉が大きかったかも! ホラ、案ずるより産むが安しって。仕事との両立も不安だったけど、何とかなるものね~! 彼がすんごく家のことをしてくれるのよ~。も~、料理なんかは彼の方が上手なの~」
「へ~!そのヘンは日本人夫とは違うのね。いいなぁ~! しかもイケメンで。前の彼の後に知り合った人よね?」
「ええ、そうなの~。ロストラブで辛くて、もう恋より仕事! 結婚なんてしない!・・なんて思っていたのに。知り合って半年で結婚しちゃったわ!」
朋乃はこんなにメロメロになった高尾は初めて見た。新郎のほうに
「高尾のどこが良かったのか?」
と、英語で質問してみた。すると、英語はサッパリ分からない~っというリアクションをしたので、高尾はイタリア語で通訳をしていた。
「朋乃さん、これ、あくまで彼の言葉だから! 私の言葉じゃないから~。・・・あ~もう! 恥ずかしくて言いにくいなぁ~~。ええーとね、『アナタのことが美しかったから! 世界で一番美しいと思ったから! その白い肌と黒髪、日本の美。仕事も出来るし、頭もいいし、素晴らしい。愛してる! 世界一、いや、宇宙一!永遠に! アナタが傍にいるだけで元気になれる。僕は幸せ者だ!』・・・と言ってました・・」
高尾はかなり赤くなっていた。そして二人は堂々と何度もキスを交わした。傍にいた外国人たちがはやし立てはじめた。
「あ~あ、聞くんじゃなかったわ・・」
と、朋乃は半ば飽きれ気味だった。
「イタリア人ってスゴイわ。いつもあんな調子なんだなぁ。ウチの夫に爪の垢でも飲ませたいよ。毎日あんな言葉を聞けたら、朋乃だって不倫はしないかも・・」
なんて思っていたのだ。

「朋乃ちゃんの今日のドレスだって、すんごいセクシーよ! 人妻だけどフェロモン出ちゃって!今に声をかけられるわよ~ 」
朋乃は綾さんと一緒になって笑った。
「実はもう不倫中です。やはり何かが滲み出てるのかな~」
と、内心で思っていたが、そんなことは人前では言えることではないと思っていた。


そして、早紀先輩と二人でゆっくり話す機会ができた。朋乃は、どうやって今の旦那さんと知り合ったのかが一番聞きたかったのだ。
「アナタの婚約が分かった後にショックでね、衝動的に会社を辞めちゃったの。もうホントに落ち込んで生きる気力すら失ったけど、このままじゃ良くないと思って、何となくハワイへ渡ったのよ。そしてサーフィンと出会って、夢中になってる内に段々元気を取り戻していって、その後、日本とハワイを行き来する日々が続いたわ。それから、心理学や色んなセラピーを勉強するようになったの。ハワイに行ってから、いつしかセラピストを目指すようになっていたのよ」
「旦那さんって、ショップの社長でもあるけど、元プロ・サーファーだよね。結構有名な・・」
「そうなの。主人とはサーフィンを通じてハワイで知り合ったの。主人は最初の結婚をしてから事故にあって大怪我をしてね。プロ生命を絶たれてしまったのよ。それでショップを立ち上げて生活の糧にしょうとしたけど、奥さんとはギクシャクし始めてね、奥さんは子供を置いて他の男と出て行ってしまったのよ。奥さんはサーファだった主人を愛してたみたいね。別れてから、私が何となく主人の店を手伝ったり、セラピストの資格を生かして主人の傷ついた心を癒してあげたりして・・。朋乃さん! 元を言えば、全てアナタのお陰なのよ!! あの時振られてなかったら、今の自分はなかったわ。そして今の生活もなかった! もう~感謝してるわよ~! アナタも今、上岡課長と結婚して幸せだから、ホント、お互い万々歳だわね~!」
朋乃は、これ以上にない位感謝をされて、逆に複雑な気持ちになった。
「幸せと言っても表面上だけだし・・」
と、思っていたからだ。

「今だから言うけど、私、めっちゃ結婚願望が強かったのよ。付き合ってる人にすぐ結婚を期待しちゃうし。料理とかも習って花嫁修業もしてたわ。でも焦れば焦るほど遠のくし、30歳過ぎちゃうし、ストレスで性格はキツくなってお局扱いされるし。だから、若くして、しかも私の憧れだった上岡課長とあっさり婚約できたアナタに嫉妬した。会社を辞めても苦しい日々が続いたわ。でも、ハワイに行ってから段々どうでも良くなってきてね、 結婚よりも好きなことしょう! 自分らしく生きよう!ってね」
かっての朋乃も早紀先輩同様、結婚願望が強かったのである。しかし朋乃は早く実現させた。その違いは、朋乃は“現実的”、早紀先輩は“夢見がち”だったからではないかと思った。しかし、今は早紀先輩こそが“スケールの大きな夢”を実現させていた。“夢”なんて所詮“夢”と思い、“夢のないつまらない女”と自嘲していた朋乃だが、“夢”って大事なんじゃないかと思い始めたのだった。


「デザートタイムで~す!」
司会者の声がすると、シェフたちがデザートを持ってやって来た。その様子を見て朋乃は再び驚いた。何故なら彩香の元夫であるM男君が居たからである。
「M男君じゃない! すごいわ!! 立派なシェフになっちゃって!」
M男君の名札を見るとサブチーフ・シェフとあった。顔つきも、昔と違って自信に満ち溢れていた。
「いや~、こちらこそ! 朋乃さんと再会できるなんて光栄です。相変わらず、お綺麗ですね」
「やだ~! 口調までイタリアンになっちゃってさ~。M男君、偉くなったんだね~。昔よりも格好良くなったよ! ホントに。彩香と別れてから・・・ホントに夢を実現させたんだね」
「彩香、元気にしてるか? 僕のわがままで離婚することになって申し訳ないと思ってる。ファミレスの従業員のままだったら、彩香との生活を守れたのかもしれないのに・・。独りになってから、あちこちのレストランで修行してきたよ。海外でも修行した。今はこのレストランで落ち着いたかな」
「このレストラン、美味しいって有名だもの。つかぬことを聞くけど、M男君は今も独り?」
「料理が恋人って感じだね」
気の利いたことも言えるようになったM男君に、朋乃は感激していた。実は朋乃は、M男君が今でも独りだったら彩香に引き合わせようか?・・なんて考えたのだが止めた。価値観の違いで離れた二人、覆水盆に帰らずだろう。
「彩香はね、とっても元気よ! ああ見えて結構しっかり生きてるのよ。心配はいらないわ。彼氏もちゃんと居るしね。M男君が、早く素敵な女性と出会えますように。いや、きっと出会えるわよ!」
M男君は満面な笑顔でうなずいていた。


高尾に、早紀先輩、M男君、そして彩香・・・皆、失恋をポジティブにとらえ乗り越え、見事に成長し輝いている。朋乃だけが変わっていないように思えていた。

<第38話終わり、39話へ続く>


テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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