咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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【短期連載小説】 大奥★社内恋愛 2
女ばかりの会社の
殿(イケメン)をめぐって、大奥(社内)は複雑に混戦模様。
しかし、ポジションも決まりつつある?
へビィな展開へ

※登場人物も増えて複雑化してきたので、ストーリーの終わりの一番下に、登場人物紹介コーナーを設けました。

大奥★社内恋愛 2

※このストーリーはフィクションです


真砂子は龍星を追いかけ、息を切らしながら問いかけた。
「宴会芸の内容はどうなったのかしら? 途中まで一緒に詰めていたんだから、最後までキチンと報告してほしかったなぁ」
感情に走ろうとする気持ちを押さえ、やんわりと話したつもりだった。
「そのことなら、ご心配なく! もう決まってるから!」
後ろから、気の強そうな女性の声がした。声の主は沙耶だった。沙耶は制作のリーダー格で、しっかりしており真砂子も安心して仕事を任せていた。ただ、気の強すぎるところが玉にキズで、真砂子自身もヘキヘキすることがあった。この企画に関して、真砂子は
「何故、沙耶がしゃしゃり出てくるの? 私は龍星に聞きたいのに・・」
と、思っていた。しかし、龍星に話す隙を与えず、沙耶はさらに言った。
「宴会芸はね、龍星が“バカ殿”をやることになったの。あ、衣裳とか全て私たちが用意するから大丈夫よ。そして、私と香奈がお姫様の役をやって“バカ殿”をサポートして、さらに早苗おかあさんに、ちょっとズッコケお姫様をやって笑いを取ってもらうわ。ね、盛り上がりそうでしょ! 忙しい合間をぬって練習もしてるのよ。龍星、サイコーよ! こんなに格好いいのに、お笑いのセンスもあるんだもの」
「まあ、そこまで進んでいたのね。あの・・、私に何か出来ることはないかしら? バカ役でも何でもするわよ」
「お気持ちだけありがとう。でもご心配なく。編集長は忙しいし何もしないでどっしり構えてて! ま、後は私たちに任せて!」
結局、龍星とは一言もしゃべらず、真砂子に軽く笑顔で会釈して、沙耶と一緒にデスクへ戻っていった。

真砂子は、一人ノケモノにされたみたいで面白くなかった。
「企画が決まっているなら、龍星、メールで一言教えてくれてもいいのに。メールが突然来なくなったことと、沙耶が何か関係あるのかしら?」
真砂子はますます迷宮入りしていた。龍星も香奈も早苗おかあさんも沙耶と同じ制作担当で、横の繋がりで沙耶が仕切っているのだろう。沙耶は真砂子より2つ年下だが、龍星よりは“お姉さん”にあたる。香奈は20代前半だが、センスにはキラリと光るものを持っており制作のホープだ。早苗おかあさんは文字通り、高校生と中学生の子供を持つおかあさんで、パート勤務で主に制作の雑務をこなしている。40代前半で見た目もポッチャリしていていかにもおかあさんなので、皆からそう呼ばれていたのだ。


そうこうしているうちに送別会&歓迎会の日がやってきた。嫌われ者の部長は欠席ということになり、皆は嬉々として沸いていた。社内の女性たちは服もメイクもバッチリで、いつもの飲み会と全然違い、気合いがみなぎっていた。
「まるで、合コンみたいな・・」
真砂子は思ったが、そういう真砂子とて、いつもよりフェミニンにしていた。

宴会芸は大いに盛り上がった。イケメンの龍星がバカを演るギャップが楽しく、ある意味龍星の株がますます上がったのだ。早苗おかあさんのズッコケぶりも可笑しく、龍星の“バカ殿”とナイスなコンビだった。沙耶は、龍星の変装メイクから支度から甲斐甲斐しく世話を焼いていた。その姿が妙に幸せそうで、真砂子は見ていられなかった。香奈や早苗おかあさんも、沙耶にくっつき取り巻いていた。真砂子は、仕事はデキても男と女のことには全く鈍感だ。先ほどの沙耶たちのポジションこそ、未来を暗示するものだと、真砂子は気づかないでいた。

龍星が変装から着替えて戻ってくると、さっそく社内の女性たちがワンサカ群がってきた。その中心には、今度退職する梨奈が居た。だが、沙耶たちは、群れには加わらず隅っこで飲んでいた。社内の数少ない男性の既婚の二人は、輪から外れてふて腐れていた。真砂子は、その二人にお酒を勧めに行った。

一次会がお開きになり、二次会は夜景が美しい落ち着いたスカイバーで行うことになっていた。カラオケが嫌いな梨奈に配慮したのだった。龍星の横の席取りの争奪戦が密かに繰り広げられていたようだった。見事、席をゲットしたのは美夏だった。龍星と女性たちはゲームに興じ、盛り上がりを見せていた。真砂子は隅っこの席で、龍星の輪から遠い女性たちと静かに語りあっていた。

「あのー、編集長、今ちょっといいですか?」
声をかけてきたのは香奈だった。皆が盛り上がってる時に何だろう?と思った真砂子は、バーのカウンター席に二人して移動した。
「編集長には耳に入れておいた方がいいと思ったんだけど、実はですねぇ・・・龍星と沙耶、付き合っているんです」
真砂子はショックで手が震え、カクテルを落としそうになった。沙耶が甲斐甲斐しく龍星の世話をしているシーンなどが脳裏に浮かんでいた。しかし、真砂子は冷静さを装った。
「そ、そうなの・・。社内の皆は知ってるのかしら?」
「多分、知らないと思う。あの二人、すごく隠そうとしてるからね。社内であの二人、妙によそよそしく会話するじゃない。 あれがね・・すっごいワザとらしいんだよね~。わたしね、龍星のアパートの近くに住んでいるんだ~。で、龍星のアパートの駐車場にね、しょっちゅう沙耶の車が停まっているんだよ。週末なんて必ず!だよ。この間なんか、二人で手を繋いで歩いていたよ。二人ともサングラスかけてたけど、バレバレだっちゅーの! 沙耶、会社には絶対着てこないようなめっちゃ可愛い、いかにも女の子~って格好してたね~」
香奈はアルコールの勢いも手伝って饒舌になっていた。真砂子は、ようやく事実を受け入れつつあった。突然メールが来なくなった理由も、やっと納得しかけたが、さらに香奈はしゃべり続けた。
「私さぁ~、実は龍星とメールのやり取りしていたんだよね。仕事の相談とか、あと、龍星と結構音楽の趣味が合うんで、ま、そんな他愛のないことね。なのにさっ! ある日、突然メールが来なくなったんだよ。龍星に聞いてもはぐらかされるし。も~!絶対沙耶の仕業だよ! アイツ、龍星の携帯、チェックしてたんだよ。気が強くて嫉妬深いからさ、自分以外のオンナとメールのやり取りをさせないように見張っているんだよ。ヤだね~! 龍星は人気者だし、皆のものなんだから、友だち付き合いくらいは許せ~っつ~の!」
香奈はかなり感情的になってヒドイ口調になっているが、真砂子は、龍星が香奈ともメールのやり取りをしていたことにショックを受けていた。一方で、香奈も真砂子と同じ時期に同じ想いをしたことに、少しだけ親近感を持った。しかし、真砂子は、一時でも龍星にときめいた気持ちを持ったことを香奈には悟られないように、編集長の顔で諭した。
「教えてくれてありがとう。このことは内密にしておきます。ウチはけして社内恋愛反対というわけではないけど、相手が龍星なだけに社内の女性たちのショックも大きく、仕事にも差し障りが来ると思うの。あなたも口外しないように、お願いね」
香奈は素直に納得してくれた。しかし、真砂子は思っていた。
「何故、香奈はあんなにムキになっているんだろう。香奈のしている行為は殆どストーカーじゃない。追跡すればするほど傷に塩をすり込むようなものなのに。・・・香奈も龍星のことが好きなんだろうか?」

真砂子は元の大テーブル席に戻ると、龍星と女性たちの輪から大声が聞こえてきた。
「あのー! あたし~、龍星のことが好きです!!」
それは、美夏の声だった。美夏は酔った勢いも手伝って、皆の前で堂々と“告白”をしてしまったのだ。周りの女性たちは固まっていた。真砂子は焦り、冷や汗をかいていた。
「マ、マズイ・・この空気・・・変えなきゃ・・・・」
すると、とっさに龍星は答えた。
「ごめんなさい。俺はこの会社に入ったばかりだし、今は仕事が第一、仕事が恋人なんだよ。そして、この会社を愛しているんだよ。だから、個人的な想いには答えられない。申し訳ない。でも、俺のこと、そんな風に慕ってくれるのはとっても嬉しいよ。これからも皆で力を合わせて、いいもの作っていこいうよ!」
女性たちから拍手が沸き起こった。
「カッコイイ~」
と、黄色い声も飛んだ。龍星の言葉に、再び真砂子はホロリとなってしまったのだ。肝心な美夏の方も大人しくなり、これ以降は一言もしゃべらなかった。お開きの後、帰り道を歩きながら、泣きじゃくる美夏を真砂子は慰めていた。龍星と沙耶が付き合ってることなど知る由もないだろう。しかし、本当に泣きたいのは真砂子のほうだった。その夜は眠れなかった。


怒涛の送別会&歓迎会から数週間経って、ようやく社内もいつもの落ち着きを取り戻していたかのようだった。そんな中、早苗おかあさんから電話かあり、インフルエンザで1週間ほど休みたいとの申し出だった。真砂子は快く応じた。

真砂子は沙耶と打ち合わせをする為、制作の方のデスクへ行った。すると、何だか今までにない重々しい空気を感じたのだった。よく観察してみると、沙耶と香奈が全く口を聞いていないのだ。しかも険悪なムードすら漂っていた。やはり、龍星のことが尾を引いているのだと、真砂子は感じていた。

ある夜遅く、真砂子と美夏と編集の数人で残業の後、一緒に食事に出かけた。すると、その一人が
「ねえねえ知ってる? 龍星と沙耶って付き合っているんだってね」
真砂子はマズイ・・と冷や汗が出たが、別の一人が
「ああ~、私も実は知ってたのよ。誰にも言わないで~って言われたから黙っていたけど。でも、皆知ってるんじゃない? 本人たちは隠してるつもりでも、社内恋愛ってさ、結構バレてるもんなんだよね」
真砂子もとうの前に知っていたけど、周りの人は意外と冷静に受け止めていたので驚いていた。だが、真砂子はシラを切り通した。
「ええーっ、そうなの?」
と、ワザとらしく答えると、美夏が言った。
「あたしー、龍星に告って玉砕して、自分の想いを成仏させました! ・・で、今、新しい彼氏居ます! えへへっ」
真砂子は、美夏のパワフルさが羨ましくなった。それに比べて、真砂子は今だ龍星への想いをひきずっているし、気持ちがスッキリしていないのだ。それ以降、食事会は沙耶の話題で深夜まで盛り上がった。だが、殆ど悪口に近いものになり後味が悪くなった。沙耶は、女同士の前と龍星の前とでは全然態度が変わるとか、普段、気が強く口が悪いクセに、龍星の前だけコロッとしおらしくなり、ぶりっ子な口調になるとか・・そんな内容だった。

数日後、早苗おかあさんが久々に出勤してきた。
「わあ~! 早苗おかあさんの手作りケーキだ! 超うれしい! これを待っていたのよ~」
「早苗おかあさんが居るとやっぱり癒される~!」
早苗おかあさんの存在で、ここのところのギスギスしていた社内の空気が一気に和らいだのだ。
「編集長、1週間の約束だったのに、2週間も休んだりしてすみませんでした」
「いいのよ。病気はしっかり養生したほうがいいわ。長く休んでよく分かったわ。早苗おかあさんの存在の大きさによ! これからも、長くこの会社に居てほしいわ」
「編集長、そのことなんだけど。ちょっといいですか・・・」
真砂子と早苗おかあさんは、隣の会議室へ移動した。真砂子は嫌な予感がしていた。
「・・・えっ、辞めたい? どうして?」
「・・・実は、龍星の子、妊娠してしまったんです」
「・・・な、な!」

<第3話へ、つづく>


登場人物 紹介---------------

★龍星(29歳・制作)・・・女ばかりの会社に入社したイケメン。モテ男。

★真砂子(34歳・編集長)・・・美人で仕事がデキるが恋は不得手。龍星に密かにときめいている。

★沙耶(32歳・制作)・・・制作のリーダー格で気が強い。龍星と付き合っている。龍星の前では“女の子”。

★梨奈(31歳・編集)・・・ミセスだが、龍星と友人として付き合っていると公言。派手なタイプ。夫の転勤で退職した。

★香奈(24歳・制作)・・・センスの良さが注目されている若手のホープ。一時期、龍星とメールで繋がっていた。龍星のことが好きで、追い回したり追跡したりしている。だんだん沙耶とも険悪になる。

★美夏(25歳・編集)・・・ちょっと天然な憎めない女の子。皆の前で龍星に告り玉砕する。

★早苗おかあさん(42歳・パート)・・・社内の癒し的存在。思春期の子供を持つ主婦。料理が得意。龍星と意外な関係が発覚する。

テーマ:誰かに伝えたくなる、話。(*´ー`) - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

じっくり読ませて頂きました。
読めば読むほど・・・
ひぃぃぃぃ怖いよ~(笑)

昔は、女の世界にいたので
どのキャラもよく解ります。
どの人もみんなリアルです。うんうん。
この先、修羅場な感じになって
現場の雰囲気が再帰不能になることを願います。うへへ

個人的には真砂子を応援してます☆



P.S
サイドバーのHPの存在。
気付いてましたよ~。
そして読ませてもらっていました。
まだ全部は読んでないのですが
秘密の小部屋的要素があって楽しいです☆


【2009/09/22 15:50】 URL | あっち #- [ 編集]

●あっちへ
怖いでしょ!(笑) ふっふふ~!
既に3話もUPしました。さらに複雑で怖いです。
オチは決まっているけど、期待するほどじゃないかも・・ううっ、ごめん(笑)
真砂子さん、幸せになってほしいですよね。

秘密の小部屋、気付いてましたか(嬉)
これは失礼いたしました~。
よろしくです。
【2009/09/22 21:57】 URL | sakuya #- [ 編集]


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