咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第34話~「本能女」
月並みだけど、結婚と恋愛は違うの?

※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第34話~「本能女」


「たまにはケンカもいいと思うよ~。人間同士なんだから、時にはぶつかり合いもあるさ! 大事なのはね、その後のフェローだよ」
朋乃は思い余って丸山部長に彩香とケンカになったことを相談した。もちろん仕事のついでである。顕微受精で妊娠したことを告げると
「おめでとう! 朋乃チャンよく頑張ったね」
と、なだめてくれた。
「彩香の気持ちも一応分かるのよ。ホントは自分が妊娠したかったのに、婚約者や朋乃に先を越されちゃったし。でも前は朋乃が逆の立場だったんだからね! でもさ~、朋乃はめっちゃ妊娠しにくいのよ。今回はすごく努力しての結果だし、前回もそうだったし。その点、彩香はカンタンに妊娠できる体質なんだから~!」
「だからって、上から目線な態度はどうかと思うよ。それに、彩香さんが悲しんでるのはそのことじゃないと思うよ。大貴さんのことが好きで、純粋に大貴さんの子供がほしかったんだろうよ。朋乃チャン、失恋ってしたことあるかい? あれはかなりの痛手なんだよ。もう死にたいぐらいのね。そんな悲しい目に遭ってる彩香さん、友だちなら思いやりの言葉ぐらいかけてあげてもいいと思うけどなぁ」
「そういえば失恋はしたことないわ。だから気持ちが分からないし、どう声をかけてよいのか分からないのよ。丸山部長はあるの?」
「ああ~もう失恋ばかりだよ~。だって、この容姿だろ~! 一応コンプレックスだったんだよ。早く社会人になりたかったなぁ。仕事が出来れば・・ホラ、まずモテるだろ! 男は! だから頑張ったし、後は心が大事だよ! 古臭いけどね。 何ごとも真剣に! そして心で捉える。・・あああ、話が反れた。そうそう、失恋も直後は混乱するけど、けして悪いことばかりじゃないのよ。成長できるしね」
丸山部長は笑いながら答えた。朋乃は高尾のことを思い出した。“自分を成長させてくれた恋”と言い切っていたし、凛としててキレイで格好良かった。朋乃はそんな経験をしていないことに対して、何か大事なものを置き忘れてきたような気持ちになった。

「いつも強気の朋乃チャンがさ~、絶対自分が正しいと思ってる朋乃チャンがさ~、こんなことをわざわざ相談するってことは、よっぽど気にかかっていたからなんだろ?」
「ま、まあね・・」
「ならば、ここは朋乃チャンが折れるしかないねぇ~。年長者のほうが大人な態度を示さなきゃ~! このままじゃ~スッキリしないだろ?」
朋乃も謝りたい気持ちはあったのだが、プライドが邪魔をしていた。でも丸山部長の言葉で背中を押されて、後日、彩香の家を訪ねた。


地元で大人気のスイーツを持参し、ブザーを鳴らずと彩香のママが出た。彩香のママはスイーツの箱を見て
「悪いねぇ~」
と、喜んだが何かを察したように彩香を連れ出し、二人だけで外で話すように諭した。優菜ちゃんは彩香のママが看てくれることになった。
「彩香、ごめんね。すごく辛かっただろうに、キツイこと言ってしまって・・」
二人は、近くの公園の駐車場に車を停めて車内で話していた。
「ううん、ごめんなさい。あたしのほうこそ悪かったわ。あの時はホント気が動転していて・・自分でも訳わからないこと言ってたわ。あ、それから・・朋乃さん、妊娠おめでとう!! ホントはあの時言うべきだったのに・・ホントあたしダメだわ~。朋乃さん、今大丈夫なの?悪阻とかは・・・」
「うん、ありがとう。今回はわりと軽いほうで・・大丈夫よ! 今、10週目に入ったところ。 赤ちゃんも元気よ!」
しばらくは妊娠・出産ネタで二人は盛り上がったが、大貴のことについては彩香のほうから切り出してきた。

「あたし、あのスーパー辞めて、今別のスーパーで働いてるの。店が変わってもレジもちゃんとやれてるし、ホント大貴のお陰だわ! 今までは大貴が居てくれることで守られてるような安心感があったけど、今は大貴がいなくても、もう大丈夫なんだなぁ~って思ったわ」
「恋って人を成長させてくれるんだね。彩香、強くなったよ! いや・・元から強い人だったのかも」
「うん。大貴と出会えて良かった。・・・でも結婚と恋愛って違うのかな。実は大貴のお父さんでもある店長から言われたの。あたしたちが付き合ってたことはずっと前から知ってたみたい。『結婚と恋愛は違うんだぞ。息子は大事な跡取りだから、手を引いてくれ! 頼む!! 実はアンタのこと調べた。随分と男性遍歴があるじゃないか! 身持ちが悪いのは嫁としては困るんだなぁ。退職金も出すから』と、頭を下げられたの」
「いや~ね、興信所使うなんて! 何かとしゃしゃり出るお父さんて、結婚してたら大変よぉ~」
「婚約者のことも教えてくれたわ。御幸町商店街のフルーツ屋の娘で29歳。大貴よりも2つ年上で、“ミス御幸”にも選ばれたことがあるんだって。清楚でキチンとしたお嬢さんらしいわ」
「え~29歳!? それって典型的な駆け込み婚じゃなーい! 彩香のことを色々言うけど、そのフルーツ屋だってかなり理由ありに見えるわ! 29歳でお見合い婚よ。ぜったい過去があるわよ! 恋愛に嫌気がさしたから、お見合いなんて選択にしたんじゃないかしら。“清楚なお嬢さん”ですって? 笑わせないでよ! 今に化けの皮が剥げるから~」
「あははは~! 朋乃さん、ありがとう~。でも大貴はそのフルーツ屋を選んだんだし。仕方ないわ。もう・・いいの。でも大貴は、『彩香のことを愛していた。これだけはホントだった!』って言ってくれた。でも、やはりお父さんから聞いたことが気になっていて『彩香を幸せにする自信がないんだ。俺は小せえ男なんだ。許せ彩香! ああ~でも、今でも好きなんだよ』って」
「反対を押し切ったりとか・・乗り越えることは出来ないのね。・・・そんな男よ、大貴は。結局世間体を気にする男なのよ! ズルい男だわ! ・・あ、ごめんね。大貴のこと、酷く言うつもりはないんだけど・・。しかし、でも何でフルーツ屋とあっさり子供作ったんだろう?」
「いいよいいよ。あたしも大貴のこと好きだけど、憎い気持ちも同じくらいあるの。許せない・・って気持ちも! ・・・そうなんだよね。あたしには、子供が出来ないようにしてたから、そういうところは慎重な人なのかと思ったのに。大貴の言い訳は、『彩香を早く忘れるため』って言ってたけど。でもフルーツ屋と付き合ったのは、ホントに最近らしくて、初めてフルーツ屋と飲みに行った時に大貴、酔ってしまったとか・・・」
「わあああ、それ怪しいわ! フルーツ屋、清楚な振りして油断ができない女だわ。ああ~嫌だ! 女って。そういう動物的なところ!」
「あたしも人のこと言えない。“本能女”とか言われたし」
朋乃は、大貴のことが少し気の毒に思えた。気骨のあるいい男なのに、二人の“本能女”から迫られ食われたのだ。一方は分かりやすいタイプの彩香、そしてもう一方は清楚の皮を被ったフルーツ屋。
「ああ~女ってコワい!」
と、朋乃は今さらながら思っていた。
「大好きな大貴の子供・・・ほしかったなぁ・・純粋にほしいと思ったのに」
しかし、彩香も前よりスッキリした感じが見受ける。やはり、胸につっかえてること、全て吐き出して喋ってスッキリした方が良いのかもしれない。とにかく彩香と仲直り出来て良かったし、以前よりももっと仲が深まった気がしたのだ。


朋乃の第2子妊娠生活も順調に過ぎ7ヶ月目に入った。携帯が鳴り彩香からだったが、電話の声は彩香のママからであった。
「彩香が元気がないから来てほしい」
とのことだった。大きなお腹で朋乃は駆けつけると、彩香のママが玄関に出た。
「ああ~! 朋乃ちゃん、オメデタだったのね! 身重なのに無理言ってごめんね~」
リビングに通されると、テーブルの上に豪華なフルーツのかご盛りがデンと置かれてあった。彩香は暗い顔してずっとうつむいたままでいた。
「彩香の元彼の妻とかいう女が押しかけて来たんだよ。『この泥棒猫! いいかげんに夫と別れなさいよ!』ってさ。ご丁寧にこんなもの(フルーツのかご盛り)まで持ってきちゃってさ。『なんだよ! アンタこそウチの娘の男を奪ったんじゃないか! 男は娘のほうを深く愛していたんだゾ!』って、言い返してやった。その女、これよ見がしにデカ腹さすってさ~、『あら残念! 彼は私と結婚したんですから~。結婚前はね、男だってまあ遊びたいじゃない。それは許してきたけど、結婚後は困るのよね』だと。彩香とは、けして遊びなんかじゃなかったと信じてるよ。あの女、身重じゃなかったら殴ってやったさ! ・・・そういえばお腹の出具合、朋乃ちゃんと同じくらいだったなぁ」
彩香の子供たちは何も知らずに無邪気に“メロン、メロン♪”と、はしゃいでいた。彩香のママは
「子供たちを公園で遊ばせてくる」
と、朋乃の子供も連れて一緒に出て行った。

「彩香・・・まだ別れてなかったんだ・・」
「別れたわ。けど、結婚後に大貴がね『結婚生活はストレスだらけだ。彩香を選ばなかったから罰が当たったんだ。やはり彩香が好きだ』ってね。でもね、そんな弱くてズルいそんな大貴が好きなの。『彩香と居る方が安らぐよ』と、言われると役に立ってるみたいで嬉しかった。離れられなかったの・・・・自分でも情けないと思うけど・・・・。でも、でも、もう・・ホントにホントに別れなきゃ! 悲しいけど、辛いけど・・・」
「辛かったね・・。いっぱい泣きなよ! 思ってることも全部吐き出して・・。いい恋だったと思う。こんなに深く愛し合える人ってなかなか出会わないわよ。巡り会えただけでも素敵なことよ。でも、次はもっといい恋に出会えるかもよ」
朋乃は泣きじゃくる彩香を抱きしめてあげた。
「おそらくフルーツ屋は自分の妊娠の数週と同じくらいなのかもしれない。・・ってことは、朋乃が胚移植をした頃、フルーツ屋と大貴は交わったということだ。妊娠するとホルモンの影響で精神的に不安定になる。だから、結婚してもフルーツ屋は常に不安定で、その生活に大貴が逃げ出した形なのだろう。彩香も辛かっただろうけど、フルーツ屋もかなり辛いだろうな。妊娠中に夫の不倫なんてね。しかし、この結婚生活、前途多難だわ」
と、朋乃は口に出しては言わなかったけど、そう心の中で呟いていた。
「ありがとう朋乃さん! いっぱい泣いたら何だかスッキリしたわ! もう大丈夫よ。朋乃さん、元気な赤ちゃん産んでね! ・・・あ、それから、メロン1個持っていかない?」
フルーツ屋から貰ったものだと思うとちょっと気が引けるが、メロンに罪はないので遠慮なく貰って帰ることにした。


あくる日、朋乃は社宅のママ友集会のときに、突如挨拶を始めた。
「今までお世話になりました。実は明日、引っ越します! 山の手ニュータウンに家を建てました。良かったら遊びに来てよね」
ママ友たちは、目を白黒させて驚いていた。
「すごいわね~! 順調にすぐに二人目の子が出来ただけでも幸せなのに、その上マイホームまでなんて!! いいわね~! 順風満帆でね~~」
しかし、朋乃は強気で思っていた。
「マイホームだって、地道に貯金した結果だし、二人目の子も、皆は順調にすぐに授かったなんて言うけど、顕微受精なんて誰も思わないだろう。羨ましがられるけど、努力なしではけして得られないわ。二人目宣言をした人は、“未だ“みたいだったが・・」
その二人目宣言をした人が言い放った。
「ねえ! 今度みんなで遊びにいきましょうよ! ねっ、ねえ~みんな~!? お家と赤ちゃん見せてよねっ!」
この彼女はママ友の中で最も気のいい人であった。


新築の家は朋乃の希望通りに出来ていた。レンガ作りの欧風住宅。可愛らしくて、まるでお菓子の家のようだった。朋乃は身重なので、ゆっくりと荷物を解きながら“巣作り”に励んでいた。

そして、2ヶ月後、月満ちて朋乃は待望の男児を出産した。

<第34話終わり、第35話へ続く>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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