咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第32話~「二人目の子作り」
朋乃、爆走中。ママになると、とにかく自分の時間が無くなる。
迷ってる時間も勿体ない。鮮やかな決断力!

※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第32話~「二人目の子作り」


休日は住宅展示場を巡るのが、朋乃一家の恒例行事となった。来場するだけでプレゼントや子供用のお菓子が貰えたり、お得なこともいっぱいあるし、何より夢が広がって楽しい気持ちになるのだ。

朋乃からマイホーム購入の話を聞いた時、夫はその貯蓄額に驚いた。家計は朋乃にまかせっきりだったが、一戸建ての頭金くらいの額がしっかりとあったからだ。夫は、改めて良い奥さんをもらったと感激していた。

昔から計画好きの朋乃にしてみれば、マイホームに関しては全く予定通りのこと。独身時代からの貯金もあり、共働き時代も朋乃の給料は殆ど貯金にまわしていたし、社宅だったため家賃は安く済み、リスクの少ない株などにも運用していたので、ムリなく倹約してマイホーム資金を貯めることが出来たのだ。朋乃は、見た目は派手で貯金も無さそうに見られるのだが、実はちゃっかり貯めていたのだった。

朋乃はレンガ作りの可愛い欧風住宅に憧れイメージを固めていたが、数ヵ月後、住宅のほうも決まりつつあった。

それから、優菜ちゃんの1歳の誕生日を向かえ、朋乃は断乳を決意した。授乳回数を減らし始めると、妊娠以来止まっていた生理が復活した。久々の生理痛に懐かしさを覚えたが、同時に何だか胸がざわざわとして切ない感情も沸き起こった。
「また、生まれたての赤ちゃんを抱いてみたい」
確かに子供は2人作ろうと計画はしていたけど、まだ先でもいいかと思っていた。それは不意打ちだった。女は出産の痛みを忘れる・・とは言われるけど、朋乃は1年経った今でもけして忘れてはいなかった。なのに、“また産んでみたい”と思ってしまったのだ。本能の叫びなのだろうか? 女とは不思議な生き物である。

軽い乳腺炎になったりもしたが、何とか断乳に成功し、再び基礎体温も付けるようになった。排卵日になりそう頃、朋乃は重大な問題に気付いた。それは
「夫と性交渉を持つ気になれない・・」
と、言う思いだった。
実は妊娠以来、夫と全く性交渉をしていない。切迫流産を経験したためか、怖くてとてもそんな気持ちにはなれなかったのだ。一方、夫の方も朋乃に対して腫れ物にさわるような感じだった。

出産後も、特に朋乃の方は完全にママモードになり、子育てを手伝ってくれる以外は、夫を排除したいくらいな気分だった。
「出産後のホルモンのせいもあるだろう」
と、朋乃は自分をそう納得させていた。一方夫の方も、もともと淡白気味だったのもあり、子育てで疲れている朋乃に言い出せず、自己処理で済ます癖がついていた。

そうしてる内に一度も交渉を持てずに排卵日が過ぎ、再び生理がやって来ると、朋乃はむしょうに悲しくて悔しくて涙が溢れた。そして、一人目不妊だった日々が蘇り胸が苦しくなった。 

しかし、夫とエッチをしなければできるものもできない。夫に自分の気持ちを話し、久々にタイミングをとってみることになった。優菜ちゃんを寝かしつけ、おそるおそる夫に抱かれた。朋乃はとても緊張していたし、優菜ちゃんが起きないかヒヤヒヤして、なかなか気持ちが集中出来なかった。二人の動作もどことなくぎこちがない。夫が入ってくると
「痛っ!!」
と、思わず声を上げてしまった。バージンのように痛いのである。産後初のエッチは、早く終わってほしいと思いながら、気持ち良くなれないまま終わってしまった。


社宅の敷地内の公園で、朋乃の子供と同年代の子供を持つママさん数人が集まり歓談していた。いわゆるママ友集会であった。こういった集まりは好きではないのだが、優菜ちゃんの友だち作りのことを考えてのことだった。

その内の1人が二人目宣言をすると、自然とその話題になった。
「やはり兄弟を考えないと・・」
「気持ちはあるんだけど、作る気力がなくて・・」
等々。 正直に宣告した人を除いて、あとはお互いが探りを入れあってる感じだった。朋乃だって本音はけして言わなかった。
「既に子供が二人って感じよ。ダンナの世話でね! それで手一杯で今は未だとても二人目なんて考えられないわ!
と、冗談交じりで言った。二人目の妊娠を望むということは、一人目の時と違い、今ここに居るママさんたちをイヤでも意識しなければならなくなる。妊娠が競争でないことは分かってはいたが、お互い、気にしないふりをしながらも気にしてしまっていた。特に朋乃はこういったことは、とても気になりやすいタイプだ。


それから朋乃は、夫婦で再び産婦人科を受診した。最初に行った病院ではなく、今度は隣県の有名な不妊治療専門病院の門をくぐったのだ。夫は精子が少ないことは了承済みで、さらにお互いが子作りのタイミングを持つことを難しく感じてるので、夫婦で意見が合致したのだった。朋乃は、あまり間を開けず早めに二人目の子を出産し早く子育てを終え、社会でバリバリ働きたいと考えていたのだ。自然に任せてもなかなか出来ないだろうし、ムダに時間を浪費したくないのだ。ドクターも朋乃夫婦の面談で驚いていた。
「たしかにご主人に乏精子の所見があるとはいえ、ええーっと、現在お子さんは1歳と3ヶ月。二人目不妊と決定するのは未だ早いような気がするのだが。ええーっ、初回から体外受精を希望? 奥さんも未だ若いし、まずは人工授精からでいいのでは?」
医師の言うことはごもっともである。しかし、朋乃は自分の意見を押し通した。妊娠率の低い人工授精を繰り返すのは時間のムダであること、お金がかかっても確率の高い体外受精で早く妊娠したいのだ。それから、朋乃の年齢(20代後半)では、体外受精の妊娠率は50%を超えると言われている。これはかなりの高い確率である。

朋乃の強い意志に、とうとうドクターも折れ、再び検査をしたりして体外受精のプランをたて、早速次周期から行なうことになった。夫も採精を済ませ、精子は凍結保存をすることにした。なぜなら夫は仕事が忙しく、朋乃の都合に合わせて来院できる可能性が低いからだ。この方法の方がストレスも少ないだろうと察したのだ。

それからしばらくして、朋乃は体外受精のために通院する日々が続いた。採卵の日まで、ほぼ毎日注射を打ちに通った。同時に採卵を円滑に進めるための点鼻薬を1日に3回決まった時間に噴射しなければならなかった。忘れないように常にバッグの中にしのばせ、外出先でもキチンと投与した。内診も頻繁に行なった。妊娠前はあれほど嫌だった内診も、産後は割と平気になった。羞恥心が薄くなったのかもしれないし、母の強さも加わったのかもしれない。

通院の際は優菜ちゃんを連れていった。不妊治療専門病院で子連れはどうかと思ったのだが、今の時代、二人目不妊は珍しいことではないし、朋乃は堂々と振舞っていた。同じように子連れは2~3組は居たが、やっぱり少ないかもしれない。他の患者から白い目で見られてるような気もしたが、朋乃だって“男性不妊という立派な理由があるのだ”と、強気でいた。待合室の患者は、年齢的には30代~40代ぐらいが最も多い。朋乃は見た目の雰囲気から場違いな感じすらした。

「ココの患者たちは、皆、出産を後回しにしたツケが今回ってきたのよ!」
と、朋乃は挑発的なことを思っていた。仕事、キャリアを優先にしてきた結果、いざ子供が欲しくなったら出来にくくなっての結果だろう。
「自分は間違っていなかった」
と、朋乃は改めて思ったのだ。

そんな待合室はいつも患者でごったがえしているのだが、何とその中に朋乃と同じ社宅の人が居たのだ。彼女は“未だ二人目はいらない”なんて言ってた人だった。
「はは~ん」
と、朋乃は思い、自分もバレないように隅っこに座り、髪をひっつめダテメガネをかけた。そして、朋乃の名前が呼ばれた。が、放送で呼ばれた名前は実は全くの偽名であった。朋乃は、あらかじめ受付で偽名で呼ぶよう指示していたのだ。不妊治療はデリケートある。プライバシーを守るために偽名を使うことを許可しているのだ。もちろん、カルテの中身は本名で記してある。何ごとにも朋乃は用意周到なのであった。

ドクターは朋乃に対して、いつもニコニコと機嫌が良さそうに対応する。この病院のドクターは、患者から恐いと恐れられている。朋乃に機嫌良く対応するのは、朋乃が20代で若いからでないかと思った。ドクターが若い子に甘いタイプ・・というのではなく、体外受精も若いほど妊娠率が上がるのだ。だから、歓迎される患者ということなのだ。今日の診察も経過は順調であった。


仕事の方は、いつも昼間に実家に帰ってやっていた。なぜなら、優菜ちゃんも動き回ることが多くなり、目が離せないので、集中して仕事が出来ない。実家の母に観てもらえば、その間に仕事を片付けることが出来た。仕事の打ち合わせは、最近は会社外ですることが多くなった。もちろん子供はもう連れて行かなかった。丸山部長からランチやカフェをごちそうになることも多かった。仕事よりもちょっとしたデートのような気分になったのだ。

朋乃は、とても充実した日々を過ごしていた。子育てしながら時々仕事。しかも、それはちょっとしたデート気分にもなった。マイホームも決まり、二人目の子作りも順調だ。仕事の帰りにカルチャーセンターに寄り、子供の早期教育と自分のフィナンシャル・プランナーの資格習得の案内のパンフレットを貰って帰った。


街の歩道を歩いていると、時折下腹部辺りが重いのを感じた。そろそろ採卵日が近いのだろうと感じた。そんな時、彩香からメールが来ていた。
「大貴のことでちょっと相談したいことがあるんだけど」
朋乃はとても気になり
「今から行く」
と、返信をした。
「別れ話じゃなければ、いいのだけど・・」
と、心配をしながら朋乃は急いで彩香の家へ車を走らせた。

<第32話終わり、第33話へ続く>

テーマ:ライトノベル - ジャンル:小説・文学

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