咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

B A B Y  D O L L  ~第28話~「オンナの一大決心」
朋乃、イチカバチカの一大決心。
その裏に秘めたる想いとは・・・


※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第28話~「オンナの一大決心」



「朋乃チャン、頼むから会社辞めるなんて言わないでよ~」
入院見舞いに来た丸山部長は、朋乃に必死に説得していた。
「もう決心したんです! 夫ともよく話し合いました」
朋乃は、妊娠してから辛かった出来事などを全てぶちまけるように、丸山部長に話した。丸山部長は「がんばったね」
と、朋乃の頭を優しく撫でた。

「お腹の子は、とりあえず今は何とか生きてるわ。でも、明日は分からない。とても心配だわ。こう言ったら非科学的かもしれないけど、この子の命と引き換えにしたいの。朋乃の大事だったこと、1つ捨ててでもね」
朋乃は、今まで自分が一番大事で自分中心に生きてきたけど、ここへきて初めて誰かの為を想って、その為なら大事なものを投げ出してもいいとさえ思ったのだ。それでも丸山部長は
「休職手続きをすれば良い」
などと言いながら引き止めたが、朋乃は聞き入れなかった。

それから朋乃には、もう1つ想いがあった。
「朋乃が辞めれば、もう丸山部長とは縁が切れてしまうだろう。二人っきりで丸山部長の顔を見れば、やっぱり朋乃は丸山部長が好きで頼りたくなてしまう。今は夫ともいい感じだし、これからのことを考えたら、もう丸山部長のことは完全に忘れてしまったほうがいいのでは・・」
と、胸に秘めていた。赤ちゃんのこと、自分自身のことでかなり弱ってるし追い詰められていた。辛いので、何かスパーンと決断したかったのだ。

「そうか・・・。その気持ちは一応受け取っておくが、まだ受理はしないからな! 焦らずゆっくり考えなさい。」
丸山部長はそう言って、朋乃の手をしっかりと握った。丸山部長の顔が近づいてくると、朋乃は思わず抱きつきそうになった。すると・・・
「やあ! 朋ちゃーーん、元気かーい」
と、聞き覚えのある声がした。夫だった。朋乃と丸山部長は慌てて身体を離した。
「あっ! これは丸山部長!! 失礼しました~。 お忙しいところ、わざわざ妻の見舞いに来て頂きありがとうございます」
「まあまあ上岡君、そう固くなりなさんな~」
さっきまで甘いムードだったのに、夫が来たことで一気にビジネスモードになってしまった。入れ替わりに丸山部長は帰って行ったが、冷静に見たらすごい光景だったと朋乃は思った。夫は、朋乃が丸山部長と不倫関係であったことを全く疑ってもないようだ。
「一人の女を巡って、二人の男が・・・」
朋乃はよからぬことを考えてドキリとしていた。妊娠して“母モード”へ傾く中で、久々に自分の中の“女モード”を確信した。


数日後、結局朋乃は会社を退職することになった。決定すると、むしろ安堵感で満たされた。それと同時に出血もキレイに治まり、その他の検査も経過が良く、ついに退院が決定した。

残務整理と引継ぎの為、1週間ほど最後の勤務をすることになった。朋乃がもう辞めると知ると、同僚たちも以前とうって変わって和やかなムードになった。朋乃は、本音では会社を辞めたくはなかったのだが、負け惜しみでこう言い放った。
「結婚して1年ちょっと2人だけの生活を楽しんで、そろそろ子供が欲しいなぁ~なんて思ってたら出来ちゃったのよね。ちょうどいいタイミングだなぁ~なんて思って! ふふふっ」


退職してから、朋乃はまずお気に入りのマタニティ服を多量に買った。
「妊婦になっても綺麗でいたい」
と、思い安定期に入ったせいか、気持ち的にも余裕が出てきた。入院してた頃がウソのように出歩けるようになった。そして、胎動を感じるようになると夫は朋乃のお腹に向かって話し始めた。
「うるうるうる~! ベイビーちゃん、こーんにちは~! パッパでちゅよん♪ よろちくね~」
と、赤ちゃん言葉である。朋乃は
「あ~あ、女子社員の憧れで体育会系でサッカーチームのキャプテンの面影はどこにいったのよ~!」
と、あっけにとられていた。

しかし朋乃は、そんな穏やかな日々も段々退屈に感じ始めていた。本当は、出来れば臨月まで仕事がしたかったのだ。気がつくと、愚痴のつもりで丸山部長にメールをしていた。
「あ~あ、退屈で死にそぉ~! 何か仕事でもないかしら?」
すると、その日の夕方に早速返信が来た。
「在宅で仕事をしないか?」
とのことだった。仕事の内容は主に翻訳の作業だ。朋乃は願ってもない話だと思い、2つ返事でOKした。
「冗談のつもりで言ったのに、も~丸山部長ったら! ホント、根が真面目なんだから! でも、こんなに朋乃のことを想ってくれて嬉しいっ」
退職にあたって、丸山部長とはもう関わらないと誓ったその想いがあっさり崩れてしまったことに朋乃は自分自身で呆れていた。仕事の発注は丸山部長から直に来るので、仕事の度に関われると思うと嬉しさがこみ上げてきた。丸山部長も朋乃のことを心配していて、折角の能力を生かしてあげたいと思い、考えたことなのだ。朋乃は再び仕事を得て、活き活きとしてきた。その為か、お腹の子も元気で順調であった。


そして、朋乃はあっと言う間に10ヶ月目に入り、仕事は一旦区切りをつけることにした。しばらく丸山部長に逢えなくなると思うと寂しくはなったが、丸山部長から
「出産頑張れよ!」
と、励まされるとパワーが沸いてきて、どんなことにも乗り切れそうな気がしてきたのだ。

出産予定日ちょうどに陣痛が起き、それから12時間後に夫立会いのもと、朋乃は自然分娩で元気な女の子を出産した。助産師からは安産よと伝えられたが、朋乃には12時間の辛い格闘でも安産だということが信じられなかった。陣痛と格闘している時は、普段はいつも身綺麗でにこやかにしている朋乃が、信じられないような暴言を吐きまくっていたという。その姿に一番驚いていたのは夫で、朋乃は“素”が出てしまったと内心思っていたが、痛みでこのときばかりはコントロールが出来なかったのだ。

出産後は脳内麻薬が多量に出るのか、赤ちゃんを抱かせてもらうと、涙が溢れ
「今まで生きてた中で一番幸せ!!」
と、恍惚に浸っていた。そして、生まれたての赤ちゃんを抱っこしている画像付きのメールを、朋乃は丸山部長に嬉々として送信した。

<第28終わり、29話へ続く>

テーマ:自作連載小説 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

この記事に対するコメントの投稿














管理者にだけ表示を許可する


この記事に対するトラックバック
トラックバックURL
http://sakuya39.blog24.fc2.com/tb.php/41-b29f421c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)



上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。