咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第27話~「待望の妊娠と新たな試練」
朋乃、待望の妊娠発覚。
しかし、それはゴールではなく新たな試練の始まり。

※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第27話~「待望の妊娠と新たな試練」


朋乃が妊娠検査薬で待望の陽性反応を出した日に
「赤ちゃんが生まれました」
と、彩香からもメールが届いた。第2子も女の子だったようだ。

朋乃は、望んで1年と3ヶ月で妊娠したことになるが、その期間が短いのか長いのかの感覚は人それぞれであろうが、朋乃にはとてつもなく長く感じられた。朋乃は自分が幸せな気持ちで一杯だったためか、彩香に対しても余裕で心から“おめでとう”を言えた気がした。朋乃も思い余って自分の妊娠のことを告げそうになったが、冷静に考えて止めた。妊娠初期は流産しやすい。彩香だけでなく、皆への妊娠報告は、まだ先のほうが良いだろうと思ったのだ。

夫は、朋乃の妊娠に対する喜びを大げさなくらいに表現した。
「そろそろ子供が欲しいなぁと思ったら、すぐにデキるとは!!  スゲや~!やったぞ~!!」
だが、朋乃は
「ずっと前から切望してたのですけど・・」
と、夫の言葉に苦笑していた。
「精子が少ないないからデキにくいなどと言いやがった医者め! ちゃんとデキたじゃないか!! ハッハハ~! しかし、これでもう病院に行かなくて済むからラッキーだな」
「アナタはいいけど、朋乃はこれからしよっちゅう病院に妊婦検診に行かなきゃいけないんですけど・・」
と、再び苦笑した。しかし、今周期は今までになく夫がソノ気になってくれたこと、医師からはショックなことを告げられたが、そのためにかえって期待せず肩の力が抜けたこと・・・、これらが妊娠に結びついたのではないかと思ったのだ。
「はしゃぎたい気持ちは分かるけど、妊娠も未だハッキリ確定したわけじゃないから。もうしばらくは周りには内緒にしてね」
子供のようにはしゃぐ夫に対して、朋乃は既に母になったかのごとく冷静に諭した。

1週間後、朋乃は病院で子宮に10ミリ程の“赤ちゃんの袋”を確認された。妊娠に対しては、医師が一番驚いていた。
「まっ、精子の運動率が悪いと言っても、ゼロではないから、自然妊娠の可能性は十分あったわけだよ」
と、医師は奇跡だと言いながらも医学的に冷静に分析していた。朋乃は“奇跡の妊娠”を改めて嬉しく思った。しかし、未だ妊娠が確定したわけではない。通常は心拍が確認されてから、初めて医師から“オメデトウ”と言われるのだ。

職場でも朋乃はソワソワと気分が落ち着かない。
「妊娠したんだよ!」
と、早く皆に言ってしまいたい衝動に駆られる。次の検診までがとても長く感じられた。時折強い不安にも襲われる。そしてようやく2週間経ち、病院の内診で心拍が確認されると、朋乃は妊娠確定の嬉しさと安堵する気持ちで涙が溢れ出た。

妊娠も3ヶ月目に入り、悪阻も顕著に出始めた。
「そろそろ職場に報告しなきゃ・・」
と、思った矢先、少量だが出血してしまったのだ。朋乃は“流産”の言葉が頭をよぎり、会社を早退して病院へ駆けつけた。医師の診断結果は切迫流産で、要入院となった。朋乃は泣きながら夫に電話し、夫も仕事を投げ出して病院へ駆けつけ、入院の手続きなどを行った。

※切迫流産・・・出血を起こしたが、胎児は成長しており、流産しかけてる状態。出血が止まるまで自宅安静又は入院安静を余儀なくされる


会社には2週間程の休みを願い出た。仕方なさそうに受理はされたが、これを機に朋乃の妊娠が会社にバレてしまった。朋乃は
「こんなカタチで知られたことが悔しい。もっと幸せモードいっぱいに報告したかったのに~」
と、泣いた。妊娠すると情緒不安定気味になり、ちょっとしたことで泣いたり怒ったりしてしまうのだ。

朋乃は点滴を付けられ、ベットの上で
「どうか、赤ちゃんが無事でありますように」
と、毎日祈るような日々をおくっていた。出血はなかなか治まらないが、診察の時にエコーで赤ちゃんの元気な心拍を確認出来ると、とても安堵した。赤ちゃんの生命力が救いであった。

朋乃は3人部屋に入院しているが、空いていた隣のベットに流産の処置をする患者が入院した。その患者は
「妊婦と同じ部屋なんて嫌だぁぁぁ!!」
と、泣き叫んでいた。産婦人科は時に酷である。幸せな者と悲しみにくれる者、両者が同時に混在するのだ。今の朋乃には、流産の患者の気持ちも何となく分かる。しかし、その人たちよりも自分が幾分幸せな状況にあることに感謝ぜずにいられなかった。この幸せを守りたいと思った。

入院して5日目、だいぶ出血も少なくなってきたが、相変わらず心配症で心の休まらない日々をおくっていた。そんな時、彩香から先月生んだ第2子の画像付きのメールが届いた。すると
「朋乃もこんな元気な可愛い赤ちゃんをゼッタイ産んでみせる!」
と、ファイトが沸いてきた。朋乃は、やっと自分らしさを取り戻しつつあるとを実感していた。

朋乃が入院してることは、彩香は知らないし、又は知られたくないと思った。
「そういえば、彩香は妊娠中、今の朋乃と数週が同じくらいの時、平気で出歩いて店長とデートなんかもしたりしてたのよね。朋乃からしてみれば信じられない。ましてはHするなんて! 初期にHなんてしたら流産を引き起こすし恐ろしいことだよ」
などと思い巡らせた。かってはそんな彩香を“いいかげんなヤツ”だと思っていたが、今は
「なんて、図太い神経なの!」
と、ちょっと尊敬の念すらも持った。
「心が大らかでなければ、これから先の妊娠数ヶ月はおろか、子育てさえやって行けないんじゃない」と、思ったのだ。朋乃は
「大丈夫! きっと大丈夫!!」
と、自分と赤ちゃんを信じるような気持ちで、お腹に向かって励ました。

彩香のことを思い出したお陰で朋乃は心を持ち直し、それと同時に出血も殆ど無くなっていった。1週間で退院することができ、2日ほど自宅で静養して、当初の予定の2週間の休職よりも早く職場へ復帰することが出来た。


会社の同僚たちは、オメデトウよりも
「大丈夫なの?」
を、強調していた。表面上では
「無理しなくていいよ。私たちがやるから~」
と、言うがオフィスルームを離れて休憩所なんかでは
「困るよね~、妊婦のシワ寄せ、ぜ~んぶ私たちに来るんだから~」
「流産なんかしたら、私たちのせいにされそうじゃない! もう辞めればいいのに。今までも妊娠したら退職する人ばかりだったのにね~」
なんて陰口を叩かれていた。朋乃は針のムシロを感じていた。

ある日、朋乃は思い余って残業を引き受けてしまった。同僚は
「あら~、いいの? 今日は体調がいいのね。 そうね~、今までフォローしてあげていたんだもんね。たまにはいいよね。じゃ、お先に~」
と、帰った後、1人で黙々と仕事をしていた。朋乃はしんどくなって、デスクでうつ伏せになって休んでいると、目の前に綾さんが立っていた。
「朋乃ちゃん、手伝うわ! 全く~。朋乃ちゃん1人に押し付けるなんて! ホント、わが社は妊婦が働くにくい環境よね!! 育児休暇も取り難いんでしょ!! よっし! これはこれから私が変えてみせるわ!!」
綾さんが手伝ってくれて、朋乃は涙が出るほど嬉しい思いをした。ただ
「綾さんは、環境を変えると言ってるけど、ウチみたいな超保守的な会社では無理だと思うわ・・」
と、内心では思っていた。

翌日から、同僚たちはいつも以上に朋乃に親切に接してくれたが、何所と無く表情が険しかった。そうこうしているうちに朋乃は再び出血してしまい、再入院となった。


入院してしばらく経って、丸山部長からメールが届いた。
「○日の○時頃伺いたい。都合は良いかな?」
と、お見舞いの予告がほのめかされてあった。普通は予告もなしに突然お見舞いに来る人が多い。女性の場合、病気とはいえ、あまり他人にやつれたような素顔を本当は見せたくないものだ。あらかじめ予定を立てておいてくれたほうが、その時だけキレイにメイクして心の準備がしておける。
「丸山部長、素敵~! 何て女心の分かる人なの~!!」
朋乃は顔を紅潮させ、嬉しくて幸せな気持ちになった。

<第27話終わり、28話へ続く>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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