咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第26話~「愛とリラックスとドラマと奇跡」
今まで頑張って努力してきた。泣いたり落ち込んだりもした。
しかし、案外呆気ないもんなんだなぁ~。


※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第26話~「愛とリラックスとドラマと奇跡」


朋乃と夫は、夫婦二人で産婦人科を受診した。
「妊婦、妊婦、女、女・・かと思ったら、結構カップルが多いのに驚いたよ」
今時は、産婦人科もカップルで来る時代である。妊婦の妻に付き添って一緒にエコーを見たり説明を聞いたりする人も居るし、赤ちゃんが欲しい人も、夫婦二人の問題だと考え、夫婦で受診するよう勧められるのだ。

二人は不妊検査の流れについて一連の説明を受けた後、医師は朋乃の基礎体温表を見ながら言った。
「早速ダンナさんの検査に入りたいところなんですが、奥さんの状態から、まず排卵してないか診察をした方がいいかと思われますが、どうされます?」
朋乃は承知した。実は今周期は、“未だ排卵していないかも。どうも遅れてるかも?”と思っていたからだ。本当は、夫の精子検査はもう少し後日の方が良かったのだが、今日しか夫の都合が取れなかったのだ。朋乃は久しぶりにあの嫌な内診を受け、そして医師は二人に説明した。
「奥さんは、今にも排卵しそうって感じです。卵胞もとてもいい感じですよ。本日はダンナさんの検査は中止にして、早速タイミングを取ってみてください」
診察室を出ると、夫は急ぎ足で待合室まで歩いていった。朋乃は追いつくのに必死だった。夫は顔全体が紅潮して、体全体が硬直してるようだった。ずっと無言でちょっと機嫌が悪そうである。朋乃は会計を済ますと、夫は急に朋乃の手を握り
「行くぞ!」
と、言ってロビーの外に出た。

「何処に行くのよ」
「決まってるじゃないか! 仕込みに行くんだよ。ホテルだよ!!」
夫は車にエンジンをかけ、加速し始めた。しばらく走ると
「さっきはごめんな~。俺、産婦人科のやり取りに対して、ちょっとカルチャーショックを受けてしまったんだよ。だってさ~、顔色1つ変えないで、上品ぶった口調で・・ようは『今すぐエッチをしなさい』なんて言うのが診察なんだもんな~。それに、朋ちゃんがあの男の医者に見せたかと思うと、それもショックで・・・。でも、あれで普通なんだろ。ちょっと信じられない世界だな~」
「ふふふっ・・。アナタって結構純情なのね」
「コラーっ、な、何だよ~! ・・・あ、そうそう。今日の朋ちゃんのその格好いいね! うん、すごくイイ! そういうの似合うよ」
夫は赤くなって、そーっと朋乃のミニのタイトスカートの太ももに手をかけた。朋乃の今日の服装は、いつもと違いブラウスとタイトスカートでシンプルな引き算ファッションであった。綾さんのアドバイス通りにしてみたところ、案の定、夫の食いつきが良かったのだ。

「あ、そうだ、ホテルに行く前にちょっと美味しいものでも食べようか?」
そう夫は提案した。体のことを考えたら、“精”のつきそうな焼肉あたりが良さそうだが、夫が連れて行ってくれたのは、お洒落なフレンチ・レストランだった。平日にお洒落なフレンチのランチなんて、すごく贅沢な気分になった。

その後、ホテル街に入り、そわそわしながらラブホテルに入った。ラブホテルなんて、結婚してから1度も行っていなかった。ちょっと独身時代を思い起こさせた。朋乃は、明るく開放感たっぷりなガラス張りの広いバスルームで、のんびりバブルバスにつかった。
「たまには、こういうことをすべきだなぁ~」
と、思ったのだ。夫もバスルームに入って来て、一緒に洗いっこをしたりした。

ベッドの中では、いつもよりゆっくりとメイクラブを楽しんだ気がした。産婦人科の医師に命じられるようなカタチで、いかにも“子作り”からスタートしたことなのに、環境とムードのお陰か、あまり子作りという気ががしなかったのだ。ただ愛し合う二人、そういう感じであった。

朋乃はベッドの中でリラックスしてまどろんでいた。夫が
「そろそろ仕事に行かないと・・」
と、言うと腕を絡ませて
「もうちょっと一緒に居てほしい」
と、甘えてみせた。夫の方も
「ん、じゃ~、もう少し一緒に居ようかな」
と、いつもよりのんびりムードに浸っていた。


それから1週間後、再び二人は産婦人科を訪れた。夫は精液検査を終え、二人は診察室に呼ばれた。精液検査の結果は、平均よりかなり運動率が悪いとのことだった。夫は落胆し、握り拳をぷるぷると震わせていた。それでも医師は冷静に、今後の治療等のことを説明した。朋乃は
「そっか・・、朋乃がなかなか妊娠しないのは、夫が原因だったんだ・・」
と、原因がハッキリ判ったことにスッキリする思いと
「このような説明は専門家の医師がしてくれて良かった」
と、安堵する思いと、今後の不安とが入り混じった複雑な気持ちになった。

しかし、一方で検査結果に納得いかない思いもあった。それは、夫は見た目は筋肉質で引き締まった体型でスポーツマンだし、会社でも人の上に立つ立場の人だし、家庭ではどちらかと言うと亭主関白で、グイグイ引っ張っていくような“いかにも男って感じ”だったからだ。
「何故こんな人の精子が少ないんだろう」
そう思った朋乃は、医師にもこのようなことを突っ込んでみたが
「見た目・性質等は関係ない」
とのことだった。診察室を出て、朋乃は夫に何と声をかけていいのか分からなかった。

「その・・・、人工授精とやらをまずやってみるか!! アレは効果的とか言ってたしな。早速来周期から行くぞ~! 俺ももう33歳になるしな。やっぱ、そろそろ早く子供が欲しいと思い始めたよ。子供と一緒にサッカーなんかやりたいしな~」
出来にくいと分かると、かえって早く欲しくなるのが人情である。落ち込むよりは、やる気を見せてくれたほうが有難いが、いくら男性不妊でも、治療は女性側に負担がかかるのである。そのことを考えると朋乃は暗い気持ちになった。


それから数日後、朋乃に生理予定日が来た。下腹部がドヨーンと重く今にも生理が来そうな勢いである。
「はぁ~、どうせまた無駄にするんだろうね」
と、思いながら妊娠検査薬を取り出し
「まあ、ダメもとだよね。さて、来周期から・・・がんばりますかぁ~!」
と、言って尿をかけた。最近の妊娠検査薬は高性能で、生理予定日から検査が出来るのである。

そして・・・検査結果を見て、朋乃は思わず大泣きしてしまった。


なぜなら、検査結果の窓にクッキリと縦線が刻まれていたからである。

<第26話終わり、第27話へ続く>

テーマ:自作恋愛連載小説 - ジャンル:小説・文学

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