咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L  ~第22話~「ガンジガラメからの脱出方法」
ある気持ちでガンジガラメになった時。
そこから抜け出せるヒントは、意外と日常に転がっているのかも。
あとは、それに気づくかどうか。


※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L



~第22話~「ガンジガラメからの脱出方法」


丸山部長の衝撃的な発言を聞いたにも係わらず
「わあ~、キレイな星空ね」
なんて、朋乃はのんきに夜空を眺めていたし、サンセットから夜空へ移行する一番の美しい時期を、暴言や愚痴で満たして見逃してしまったことをひどく悔やんだりしたのだ。

「・・・そしてね、私の子をダンナさんの子として・・・産むんだよ!!」
「・・・・」
「ちょっと!!・・・朋乃チャン! 聞いてるの!!」
「ぷっ!」
朋乃はぷるぷると体を震わせ、ついに噴出してしまい、大笑いをしてしまった。
「ああ~、お腹イタタ・・。も~~丸山部長! 面白すぎです!! あはははは・・・・」
「ええーっ、面白いこと言ったつもりは全然ないんだけど・・。言っとくけど、私は本気なんだよ! どうなんだよ? 朋乃チャン!」
「ぶっははは・・・。ええーっと、それは困りますぅ~! だって、丸山部長との子供だったら・・ブサイクな子になるじゃん! 朋乃と上岡課長との子だったら、美男美女とは言わないけど、それなりの子になるハズ。だから、バレバレじゃん! あきらかに他所の子?って!」
朋乃は笑いが収まらなかったが、丸山部長は真顔だった。

「朋乃チャン・・・私のこと、愛してるんじゃなかったのかい?」
「愛してるわ! でも愛だけじゃ生きてゆけないわ!」
「さすが、リアリストだな・・」
朋乃は、ちょっとスネている丸山部長を抱きしめ、ホッペにキスをした。
「丸山部長ありがとう! こうしてお腹の底から笑ったのって久しぶりだわ!! そしてよ~く分かったわ! 今度、彩香に直接聞いてみるけど、朋乃なんかより彩香の方がず~っと純粋に子供が欲しい人だったのかもしれないなぁ~って。極論を言えば、子供のみが欲しいっていう・・。そのためには手段など考えず、結婚なんかも、ホントはあまりこだわらないのかも・・」

手段といえば、朋乃は以前に
「男に媚びることを批判をする女は、本心では媚びてみたいのだ。 でもやれないからヤッカミを言うのだ」
なんて思ってたが
「不倫も、もしかしたら同じなのかも。欲しければ、手段を考えずにやればいいし、嫌ならやらなければよい。でも、やりたいクセにやれずにブツブツ言う人がいる。朋乃にも彩香と同じようなチャンスが到来したにも係わらず、朋乃はそれに乗らなかった! そうしたのは、それが欲しくなかったからなのだろう」
朋乃は自分なりに心の中で答えを出していた。そして、解決へ導いてくれたのは丸山部長のお陰だと思っていた。

「とにかく朋乃チャンが笑顔になってくれて良かった。 それが私の一番の喜びだよ~」
「朋乃は彩香とは違うんだなぁ~って、つくづく思ったわ」
「そりゃ~、朋乃チャンには朋乃チャンの、彩香さんには彩香さんの生き方ってもんがあるんだよ」
「いい加減であっても?」
「彩香さんがいい加減だとは思わないよ。単なる彩香さんの生き方であってね。 私だって不倫してるので・・ならばいい加減になってしまうよ」
「ふふふ・・・、じゃあ朋乃もいい加減仲間だ・・」
「私も人生の達観者じゃないからね。まだまだ人生修行中の身だから上手くは言えないけど、良い悪いは抜きにして、あることに対しては、“やるか?やらないか?” ただそれだけのことなんだと思うんだ。“やるか?やらないか?” は、その人の意志なんだよ」
「丸山部長ってさ・・不倫をするようなタイプじゃないのに。“暴走車の朋乃”が突っ込んで来たせいで、こんなことになってしまって・・」
「こうしてるのは自分の意志だよ! “やる”方を選んだんだよ」
「朋乃も“やる”を選んだ。でも彩香のようなことは“やれない”・・いや・・“やらない!”を自らの意志で選択したのよ」
朋乃は、丸山部長とは今はオスとメスではなく、心を通い合わせる関係でありたいと思っていた。朋乃は丸山部長の肩にもたれかかって、一緒に夜空の星と夜景を眺めていた。やっと、穏やかな気持ちになり、本来の約束を果たしている気がしていた。

「自分が一番よく分かっているのよ。欲しい欲しいって思い過ぎたり、人のことを気にしすぎたり、羨んだりしたり・・・、こんな気持ちでガンジガラメに毎日を過ごしてるから、自分が苦しいだけだし、だから欲しいものもやって来ないのだと思う」
「ならば、その想いを私にぶつけてみたらいいし、海に向かって『バカ野郎~』って思いっきり叫んでみるのもいい! そんな想いを持つことが悪いんじゃなくて、そんな想いを持つ私が悪いといつまでも責め続けることの方が体に良くない。もう今日でチャラにしちゃおうよ!さあ!」
二人は車から降りて、丸山部長に導かれて海岸の方へ歩いていった。
「ええーっ、ココで叫ぶなんて、恥ずかしいわ~」
「じゃあ、一緒に叫ぼう!」
丸山部長は朋乃の手を取り、波打ち際に一緒に立った。朋乃は何て言おうか考えた。手始めは“彩香のバカ野郎~”かしら・・と考えていると
「じゃ~、掛け声と共に一緒に叫ぶよ。いいね」
そう丸山部長が言うと・・

「丸山部長、大好き~!!」
「朋乃チャン、大好きだよ~!!」

声が揃い、二人は、顔を見つめ合って笑いあった。そして、二人はそれぞれの家庭へ帰って行った。



家に着くと、部屋に灯りが灯っていた。
「えっ! まさか!! もう夫は帰ってきてるの?」
おそるおそる部屋をのぞくと、確かにいつもより早い帰宅で夫が居た。
「帰宅は21時か22時頃だろう・・」
との読みが外れてしまった。しかし、朋乃は強気な態度だった。

「あら、アナタ、今日は早いのね。ごめんなさい。急に友だちとの食事の約束が出来てしまったの」
「早く帰って来たら悪いのか~! 俺の帰りが遅いことをいいことに、毎晩出歩いていたんだな~!」
テーブルには缶ビールの空き缶が転がっており、かなり酔っている様子だ。朋乃はすぐにエプロンを付けて夕飯の支度をしょうとすると、夫は朋乃の腕を乱暴に掴み、リビングのソファーに押し倒した。
「友だちってのは、男なんじゃないのか?」
朋乃は今日は丸山部長に逢えると思って、いつも以上に念入りに女っぽくおめかしをしていたのだ。夫は、朋乃の服や髪や首すじなどの匂いをくんくん嗅ぎながら、服を脱がそうとしていた。幸い丸山部長は煙草は吸わないし、男性用の香水も使ってない様子だった。しかし、“男の匂いがするのかな?”との夫のチェックに素通りでありますようにと祈るような気持ちだった。

「まだ、生理も完全に終わってないし・・や、やめて!」
「何だよ~! 排卵日には、エッチしてくれ!と懇願するくせに~!」
夫への罪滅ぼしな部分もあって、夫のすることに大人しく応じることにした。コトが終わると、朋乃は顔を伏せて泣いた。すると、夫も泣いていた。
「ごめん。ホントにごめんね。俺、こう見えても、けっこう気がちいせぇんだ! 朋ちゃんってさ、綺麗だから結婚前からすごくモテて、今だって朋ちゃんのことを好きなヤツが多いから! もう不安で不安で! 朋ちゃんは俺のものだけであってほしいんだ!! こんな愛し方しかできなくて・・。ホント、俺、なさけなくて・・」
朋乃は夫と抱き合って泣いた。ちょっと乱暴な愛し方も悪くはないとは思ったが、後味があまり良くなかった。が、しかし
「今、一番大切にしないといけないのはココかもしれない」
とも明確にわかったのだった。



次の日、朋乃は会社で廊下を歩いていると、綾さんが駆け寄って来た。そして、化粧品のサンプル等を沢山くれたのだ。綾さんは、前の仕事のツテなどでサンプルは山ほどあるのだと言った。どれも一度は使ってみたいと思っていたモノだったし、主婦にとっては節約にもなるので、とても嬉しいことだった。そして、綾さんは耳打ちをするように小声で話した。

「実はネ、大口の契約を取ったの!! 嬉しくって!誰かに言いたくって、つい朋乃チャンを捕まえちゃった! 忙しいのにごめんネ。嬉しいことは、ホントは皆でワ~~!っと盛り上がりたいタイプなんだけど、ちょっと、諸々事情があってね・・・」
綾さんは、誰かに気を使ってる様子だったが、朋乃は素直に嬉しくて“おめでとう!”と言った。
「本当に幸せに思うコトって、案外誰にも言えないものなのでは?」
と、思った。朋乃の昨夜の出来事しかり
「彩香だって、今の状況を幸せに思ったりしたら悪いよね・・なんて言っていたし、幸せは人知れず噛みしめるもの、ほくそ笑むものかもしれない」
などと考えていたのだ。

綾さんの言う諸々事情というのは、綾さんが契約を成立させた会社というのが、別の担当者が何年も通っても契約が取れなくて、ここ1年くらいは営業にも行ってない所だったのだ。しかし、綾さんは前の担当者に許可を得て、再度アタックを試みたら、何と1回で契約成立となってしまったのだ。
「私のハッタリのような営業で取れちゃうなんて。運が良かっただけね。何だか前の方に申し訳ないけど・・。でもまっ! これからが勝負なのよ! この会社がウチと契約して良かった~・・って喜んでもらえるよう!頑張るワ!!」
「何言ってんですか! それは、綾さんの実力なんですよ!! 運なんてもんも、日頃の行いないの成果なのかもしれませんよ~!!・・・・あああ!! そっか・・・!」
朋乃は、急に閃きが起こったように大声をあげて、興奮して走り出してしまった。綾さんは首をかしげて、ただ不思議そうに見ていた。

「いくら努力しても、運とかタイミングとかが揃わなければ物事は成さないわ。朋乃は、昔は根拠もなく“自分は運がいい”と思い込んでいた部分があった。だが最近は、それが無くなってるような気がしてたわ。それを取り戻すには、手始めに運が良さそうに見える綾さんをマネてみようじゃない! 明るくて、前向きで、いつも笑顔で、人には親切・・・そんな風になれたら・・」
朋乃は人知れず心に誓っていたのだった。

そして、デスクに戻りパソコンの社内メールを開いてみた。すると、綾さんに対する誹謗・中傷のメールが送られていたのだ。社内も心なしかヒソヒソとざわついてる様子だ。
「綾さん、ピンチだよ~~! どうするんだろ・・・」
先ほど、綾さんの成功を喜んだばかりなだけに、こんな事態になってしまい、朋乃は非常に心配していた。


土曜日の午後、朋乃は夫と共に『ハッピー・パーク(郊外型ショッピング&レジャー施設)』へ出かけた。朋乃は服を沢山買ってもらってご満悦でいると、前方から見覚えのある人たちが近づいてきた。彩香と美月ちゃんと店長である。

知らない人が見れば、ごく普通の幸せそうなファミリーに見えそうだ。彩香のお腹もだいぶ目立つようになってきた。

朋乃夫婦とこの“偽ファミリー”は、バッタリはち合った。朋乃と彩香は“こんにちは~”と、ニッコリ笑って挨拶を交わしあった。

<第22話終り、23話へ続く>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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