咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第17話~「子作り狂想曲1」
結婚したら、子宝は自然と難なく恵まれるもの? 
いやいや・・・そんな甘いものではありませんでした。

※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第17話~「子作り狂想曲1」

彩香の二人目の妊娠の告白に対して、朋乃は
「あら! オメデトウ!!」
と、一言だけサラッと言った。

「アナタのお腹の子は、不倫相手の子じゃないの?」

との言葉が喉まで出かかったが、引っ込めた。
「せっかくだから・・」
と、彩香からお茶に誘われたが
「実は仕事を抜け出して来てるのよ。すぐ職場に戻らなきゃ~」
と、朋乃は嘘をついて断った。彩香と突っ込んで話せば、案外ポロりと真相が聞けそうだが、今はそんな気になれなかったのだ。自分がなかなか妊娠できなくて切ない気持ちでいるのに、オメデタな人を前に平然と振舞えないからだ。

「じゃあ、メールとか、したりしてもいい?」
彩香の問いに、つい朋乃は頷いてしまった。ここで断ったら、心の狭い人と思われそうだからだ。メルアドは以前に教えたことがあった。しかし、そのことに対して非常に後悔したのだった。これから彩香から、“今、妊娠○週目に入ったの~♪” “今、お腹の子が動いたのよ~♪”などとメールが頻繁に来るのかと思うと、戦々恐々となったのだ。


彩香が病院から去っていくと、朋乃は電話を掛けなければならない用事を思い出した。院内での携帯電話の使用は基本的に禁止なので、中庭で掛けようと思い移動した。すると、近くの庭木の陰からタバコの煙が飛んできた。何と吸っていたのは、二人のナースであった。一人は未だ若い新人風、もう一人はやや年配で、先輩・後輩の関係のようだった。この二人の会話を盗み聞きした。

後輩ナース「なんか信じられない!! お腹の子が誰の子が分かりますか?・・なんて!!」

先輩ナース「あ~あ、よくある話よ。他所でDNA鑑定でもしてくりゃ~いいのに。ウチじゃ~無理っつーのに!」

後輩ナース「ええ~っ!! そんなに多いんですかっ!! 何か嫌になっちゃうなぁ・・。赤ちゃんが欲しくて頑張ってる人には、なかなか出来なくて・・。不公平ですよね~!」

先輩ナース「まあ、理不尽なことは多いけど、いちいち一喜一憂してたら、ウチらやっていけないからね。冷静にネ。ドクターが、その妊婦の患者の排卵日とか割り出してなかった?」

後輩ナース「あ、してたー!! 今、スゴイんですね! この日のエッチで出来た子なんですぅ~!・・なんていうのが解っちゃうなんて! ・・・でもね・・その患者、それを聞いて・・めっちゃ落ち込んでいて涙ぐんでいた・・。うーん、どう声掛けていいか解んなかったけど・・」

先輩ナース「ま! 誰の子であっても、そのお母さんの子には間違いないからね。 産むかどうかは、本人の判断に任すしかないのよ」

後輩ナース「あの患者さん、どうするんだろうね」

先輩ナース「もし産んだとしても、その人の旦那さんに子供の血液型を教えてはダメよ。今回みたいな特殊なケースでなくとも、どの患者に対してもそのようにしてるから。本人以外は例え家族から聞かれても教えない!『他院で調べてください』と言うのよ」

後輩ナース「はい。産科病棟にはあまり行くことはないけど、肝にめいじておきます。でも、どうして? そんなことは多いんですか?!」

先輩ナース「まあ、トラブルを避けるためね。ウチらの仕事は、あくまでお産をスムーズにサポートすることよ! 例えどんな患者であっても、誠意をもって取り組んでね」



「知ってはいけないことを聞いてしまったのだろうか?」
と、朋乃は思い、“そんな患者が多い”という部分にかなりショックを受けたのだ。
「こんな所で抜け抜けとウワサ話をするのも、どうかと思うけどね。でも、さすがに名指しではなかったわ! だから、あの患者も彩香かどうかは分からないわね・・」


それから数日して、朋乃は再びこの産婦人科に検査の為に訪れた。今回は卵管造影検査といって、両卵管が開通してるかどうかを調べる検査であった。もし両卵管が閉塞していれば、自然妊娠は難しくなる。

朋乃は、この検査が痛みを伴う検査だと聞いて恐怖で震えていた。事前にネットなどで調べると、“痛くて失神した” “貧血を起こして、しばらく寝込んでしまった” “いや・・、全然痛くなかった!” “ちょっと軽い生理痛な程度”と、様々である。しかし、無駄な恐怖心を避ける為、痛み止めの薬を飲んで挑むことにした。これもネットの情報交換で知ったことで、痛み止めの薬は事前に言っておけばくれるのだ。

お陰で検査は思った程痛みも無く、スムーズに進んだ。そして、両卵管もキチンと開通していることが分かった。レントゲン室を出て、再び内診台へ上がり検査後の最終チェックを行った。その際に、医師がカーテンの向こう側から話しかけてきたのだ。
「ちょっと、エコーの画面を見てくれる? ココが子宮。今、子宮内膜の厚みを図っているんだけど、えーーっと、今6.8ミリね。これが俗に言う赤ちゃんのベッドだよ。これが排卵日頃には8ミリ以上になるんだよ」
そして、医師は超音波の棒を膣の奥の方へグィっと押した。朋乃は軽く痛みを覚えた。
「それから・、これが卵巣。ここに丸い玉がいくつか見えるだろ?これが卵胞というもので、この中に卵子が入ってるんだよ。この中の一番大きい卵胞が20ミリくらいになった時、排卵するんだよ。今、左側の卵巣に13ミリのが出来てるね。これがどんどん成長して、数日後に排卵する可能性があるね」

「これが俗に言う“卵胞チェック”ってヤツね。赤ちゃん待ちの人の多くは毎月これを受けて、正確な排卵日を割り出してるワケね」
と、朋乃は納得していた。しかし、医師のこのような説明は、診察中の足を開いた状態のままでしないでほしいと思ったのだ。恥ずかしいし、早く終わってほしいと思っていた。

内診が終わって診察室に呼ばれると、医師から毎月の卵胞チェックを勧められた。だが、今の朋乃には、こんな検査を毎月するのはシンドイと思い、
「ちょっと考えてみます」
と、言葉を濁した。

それから、不妊の原因は女性ばかりではないく男女半々だとの説明があり、夫の精液検査を勧められたのだ。医師は
「よかったら都合の良い日に、夫婦でいらしてみてください」
と、笑顔で言った。朋乃は深々と頭を下げて診察室を後にした。


朋乃は、自分に不妊の原因が無いことが分かって、とりあえず気持ちが軽くなった。でも、夫の方に原因があるかもしれない。
「そうは思いたくないけど、精液検査に応じてくれるだろうか?」
いちまつの不安を覚えた。

夜になって、ベットに入る前に朋乃は夫に恐る恐る聞いた。
「あの・・、ちょっと話があるんだけど・・」
「ん、何?」
「そろそろ、赤ちゃん出来ないかなぁ~なんて思うんだけど・・」
「そうだなぁ~~、頑張っているんだけど、なかなか出来ないなぁ~。でも、まだ結婚して間もないし、そんなに焦らなくていいんじゃないの? ま! 2~3年の内には出来るんじゃないの?」
朋乃は口に出しては言わなかったけど
「え~~! 2~3年も待てないわよ! まったく夫は呑気に考えてるんだから~~!」
と、心の中で怒っていた。

「何かね~、月に1度赤ちゃんが出来やすい日ってのがあるんだって! その日を狙って致すと、すぐに出来るんですってよ!」
「へぇ~~! そんな日があるんだ~! ・・で、いつなんだい?その日は?」
「う~~んと、正確には分からないなけど、今月は、あと4日後くらいかな。その日1回だけより、次の日、あるいは1日空けて次の日・・と、連続して行った方が確率が高いらしいの」
「ええ~っ、連チャン!? そうまでしないと出来ないのか!? うーん、そこら辺の日は接待が入ってるしなぁ・・」
「無理に・・とは言わないけど・・。それからね・・」
「えっ、何?」
「ううん、何でもないわ」
「じゃ~~、今日はもうクタクタだから。おやすみね~~!」
夫は、朋乃の頬に軽くキスをして、クルリと背を向けて寝てしまった。朋乃は“ダメだこりゃぁ~”の仕草をした。
「ま! 今日は未だ排卵日じゃないから別にイイっけどさっ!」
と、ちょっとふて腐れた。
「別にエッチをしたかったワケではないけど、ちょっとは“求めてるフリ”をしたっていいじゃん。女心が分からないヤツめ~~!」

それから、とうとう夫に精液検査のことも言い出せなかった。
「今度の排卵日には、何としてでもエッチをしてみせるからね~!!」
朋乃は、いかにして逃げ腰の夫の気を引こうかと考えをめぐらせた。
「結婚したら男女関係は安泰なものかと思ったのに・・・。結婚してからも駆け引きが続くなんて!」
朋乃は、幸せとは自転車漕ぎに似てると思ったのだ。止まったらはコケるものなのである。
「ファ~イトっ~!」
半分アクビ混じりで気合を入れて、朋乃は眠りモードへと入っていった。


<第17話終り、18話へ続く>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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