咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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【短編読みきり小説】 しあわせYUKIちゃん
いつも笑顔の人は、しあわせな人です。

どんな時でも、しあわせな人です。


しあわせYUKIちゃん


YUKIの本名は幸子である。皆からはYUKIと呼ばれていた。名前に恥ないようにいつもニコニコ幸せそうに笑っているが、これは母の影響でもあった。

母はYUKIが15歳の時に病気で他界した。そんな母がよく口にしていた言葉があった。

「楽しい時、嬉しい時
幸せに思うのはふつうのことよ。
でも、そうじゃない時に
幸せだと思いなさい。
笑顔でいなさい。
ホントに幸せでいれるから」


母はそういう意味を込めて名前を付けてくれたのだった。母自身もいつも穏やかでにこやかにしていた。どんなに病気で辛い時も笑顔でいた。YUKIはそんな母の面影が忘れられず、母のように生きたいと誓っていた。


母が亡くなると、父はすぐに次の女性をつくり家に連れ込むようになった。正確には、母が亡くなる前から女性と付き合いがあったようだった。YUKIには信じられなかった。女性がそっとYUKIに告げた。
「あなたのお父さんは弱い人なのよ。だから傍に居てあげないとダメになっちゃうの。あなたのお母さんは強い人だった。しかし、世の中そんな人ばかりじゃないのよ。自分も含めてね」

「適材適所とはこのことを言うのか。世の中、ホントうまくできてるよ」
YUKIは心の中で呟いたが口には出さなかった。“おじゃま虫”だと感じたYUKIは家を出た。最初は友人宅を転々としたが、何とかアパートを見つけた。高校は中退してアルバイトで食いつないでいた。


それから数年経ち、YUKIはある製造会社の事務員として働いていた。もともとはその会社の工場で働いていたのだが、YUKIの仕事ぶりが目に留まり抜擢されたのだった。抜擢の理由は“笑顔が素敵でハキハキしていたから”であった。YUKIは、亡き母の言われた通りにしていて良かったと心から思ったのだった。

事務所ではYUKIはアイドルのような存在になっていた。従業員は殆どYUKIより目上の人だが
「YUKIちゃん、YUKIちゃん」
と、呼ばれて可愛がられていた。YUKIはどんな小さな仕事もイヤな顔一つせず、笑顔で対応していた。
「YUKIちゃんが会社に居るとしあわせな気持ちになれる」
とか
「癒される」
とか、外部の人たちからも評判だった。


だがある日、YUKIは解雇された。
理由は、重役の娘を縁故採用するために辞めさせられたのだった。笑いの絶えない幸せそうな職場だと重役が判断し、娘を入れたくなったのだそうだ。多くの人がYUKIに同情した。
「会社の都合で辞めさせられたから、お陰で失業手当もすぐ貰えるし、そのお金でしばらくのんびり出来るし、大丈夫ですよ」
と、笑って気丈にふるまった。YUKIの彼氏も心配してかけつけた。彼氏は同じ会社の男性で社内恋愛だった。

YUKIは雇用保険の制度を利用して、無料で講座を受け資格習得の勉強をしていた。新しいことに取り組めることに結構ワクワクしていた。街で元職場の上司にバッタリ会った。
「重役の娘は全く使いものにならない。でも重役の娘だから文句も言えないし困ったもんだよ。“こんな仕事やってられない”とか不満タラタラ言うし。事務所の雰囲気も最悪だよ。ああ・・YUKIちゃんに戻ってきてもらいたいよ」
そう、まくしたてるように言った。YUKIは口には出しては言わなかったが、仕事は実は大変だったのである。重役の娘に同情できる部分もあったのだ。YUKIは努めて笑顔で振舞っていたので、大変そうに見えなかったのかもしれない。

その夜、YUKIの彼氏がケーキを持ってアパートへやって来た。
「わあぁ~! コレ超有名なケーキじゃん。よくゲットしたよね。超嬉しい!!」
YUKIがニコニコしてケーキをほうばっていると、彼氏は急にうつむいて
「ごめんなさい。別れてください」
と、言ったのだ。
YUKIは一瞬ポカンとしたが、ケーキの最後のひとかけらを口に入れ、たいらげてしまった。
「そっかぁ~、勇くん(彼氏の名前)好きな人が居るんだぁ~」
結構冷静に応えていた。YUKIの父も、母が亡くなる前から女性に手を出していたし
「そ・う・い・う・も・ん・だ」
と、思ってる節があった。
「俺って、けっこうモテんだな」
YUKIは
「こんな時に言うセリフか!」
と、自分の彼氏のアホさぶりに落胆したが、“モテる”というのは当たっていたのだ。正確には、YUKIと付き合うようになってからモテ始めたのだ。彼氏はお世辞にも男前ではナイ。

「YUKI、オマエと一緒に居ると幸せだったよ! ホント、幸せだった!!」

このセリフ、YUKIが今まで付き合った男性の全てから言われたのだった。それから、YUKIと付き合うとモテ出すという法則もあった。

「オマエは一人でも生きてゆけそうだ!!」

YUKIは
「来た、来た! ホラ来た、このセリフ!」
一人で内心踊っていた。別れ話の最中なのに自分で可笑しくなっていた。


YUKIの別れ話はいつもこのパターンだった。つくづく学習能力が無いなと思っていた。


「オトコって、どうして不幸そうなオンナが好きなんだろう」
“YUKIと付き合って幸せだった”と言うくせに、何故離れていくんだと突っ込みたくなるのだ。

<完>
※このストーリーはフィクションです

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

この記事に対するコメント

こっちにも参上~!!(笑)

新作出来たんですね。
早速拝見させて頂きました☆

いつも笑顔で。
確かに間違いではないっすよね。きっと。
うちの母ちゃんも、私へいつも
「あんたは美人じゃないけど、笑顔は可愛いから
いつも笑ってなさい。ブー子がブスッとしてると最悪よ」
と言ってましたし(笑)

話がズレるかもしれませんが
美人って得なんですよね。
黙っている→美人=何か考えていそう
黙っている→ブス=愛想悪い
怒っている→美人=迫力がある
怒っている→ブス=本当にブスに見える
笑っている→美人=華やか
笑っている→ブス=見れる
ってな感じで。

美人の笑顔には叶わない。
でも、だからって笑うのを止めるのは勿体ない。
笑顔でいれば幸運も来るってもんだし。

ありり?
何が言いたいのか解らなくなってきた(笑)
【2009/06/30 13:05】 URL | あっち #- [ 編集]


●あっちへ
お母様の言うことはまちがいないと思います。
確かに美人で笑顔の人には叶わん!・・けど、美人ほど笑顔を出し惜しみするような気がします(あまり必要ないため?)
美人が黙っているのは、普通よりも冷たく見えます。
・・ということで、笑顔の多い人の勝利です!!☆

年取ると、美人も普通顔も大差なくなります(爆)
笑う角に福来ます☆☆
【2009/07/01 09:23】 URL | sakuya #- [ 編集]


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