咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第11話~「隣の芝生は青い」
隣の芝生が青く見えるだけ? このままでは良くないかも・・


※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第11話~「隣の芝生は青い」



「丸山部長の奥さんが所帯じみてて育児疲れな顔してデブでブスだったら良かったのにぃ~!」
完全に敗北感を味わってしまった朋乃は、偶然通りがかった彩香をつかまえて、“お口直し”をしょうと企んだ。しかし、彩香とて見た目は子持ちの主婦には見えない。若いせいもあるだろうけど、安服だろうけど、それなりに今どき風にオシャレしてて、ギャル風メイクもしている。

「わ~~! 朋乃さんの車、素敵ィ~~! いいなぁ~。あたしも車欲しいけど、でもムリだなぁ・・」
彩香が、自分の家に招待したいと言うので、朋乃の車で向かってる途中である。朋乃は
「まず、“つかみ”はオッケー!」
だと思った。車持ちでリッチで華やいだ独身OL生活をもっとアピールして、優越感を保とうと思ったのだ。

「朋乃さんが結婚式に来てくれて、ホント嬉しかったわ。ウチのパパね、朋乃さんと知り合いであることを自慢しまくってるのよ~!」
彩香からそう言われると、朋乃も悪い気はしなかった。
「へぇ~! あのM男君も、もう~すっかりパパなんだね。この子の名前は?」
朋乃は彩香の抱いている子供を指して聞いた。
「ええーっね、“美月”って言うのよ」
朋乃は、思わず噴出しそうになるのを必死に押さえた。名前の由来など聞かなくても分かってしまい、赤面しそうになったのだ。
「確かに月の美しい夜・・・“野外”で結ばれてデキた子ではあるよね・・」
そう、心の中で呟いていると
「月の美しい夜に、私たちは結ばれたの。だから・・」
と、彩香は名前の由来を説明し始めた。
「・・・もう!いいってば~。説明なんかしなくっても、意味は何となく知ってるわよ」
と、朋乃は心で呟いたが、何ごとも無かったように
「美月ちゃん~、可愛いでちゅね~♪」
と、赤ちゃん言葉で彩香の子供に話しかけていた。


彩香の家に着いた。家賃の安そうなちょっと古いアパートだ。ファミリー層が多そうで、子供の遊具などが散乱していた。部屋は2DKくらい。内装も古い感じではあったが、意外や部屋はキレイに整理整頓されていて、可愛らしい感じにまとめられていた。

「こんなムサクルシイ所でお恥ずかしいわ。・・・100円ショップのグッズばかりで。ははは・・」
と、朋乃に出した茶菓子の食器も“100円のモノなの~”と笑いながら言った。でも、全体的にセンスよくまとまっている。お金をかけなくても生活を楽しんでる様子が伝わってくる。

朋乃は彩香に、子育てについて聞いてみた。
「最初は慣れなくて大変だったけど、子供がこんなに可愛いなんて思ってもみなかったわ! あたしね、男運が悪いってゆうか、散々男で泣いてきたので、その時のことに比べたら今の普通の生活ってすごく幸せで・・」
彩香は少し涙ぐんで続けた。
「子供から、ママ、ママって求められるのがすごく嬉しくって。だって、今までの男は、あたしが愛を求めてもロクに返ってこないし、冷たかったし。 あたしみたいな、いいかげんなママでも、ここまで何とか育っているのが嬉しいの」
突然、彩香は上着のボタンを外して、美月ちゃんに“おっぱい”を与え始めた。惜しげもなくさらけ出す。朋乃は、豊満で白くパンパンに張ったおっぱいに、同性でありながら“ドキッ”と軽く興奮を覚えた。
「ああ~ん! 気持ちイイっ!! 授乳ってスゴク気持ちイイものなのよ! あたしね~、いっぱい出るのよ~」
部屋中に乳くさい匂いが甘く立ち込める。朋乃は“子育てって大変”なイメージしか持っていなかったから、彩香の幸せそうな顔を見ると、何だかムショウに“赤ちゃんが欲しくなって”きたのだ。他人の結婚式を見ても結婚したくなったけど、赤ちゃんでも同じだった。不思議である。女とは、そんなに主体性のない生き物なんだろうか?

「M男君は、子育ては手伝ってくれるの?」
朋乃はちょっとイジワルく聞いてみた。
「パパは忙しくて・・、休みもあまりないの。美月も寂しがってるわ。でも、パパは私たちの為に一生懸命頑張ってくれてるし・・」
「それじゃあアナタも寂しいわよね」
彩香は伏目がちになった。20歳やそこらの女の子が、たった一人で育児。それは寂しいであろう。
「時々ね、美月を連れてパパのファミレスに行くのよ。夜の11時くらいだけどね。ほんのちょっとだけだけど、パパに会えるのが嬉ちぃのよね~~」
と、美月ちゃんに相づちを求めるように言った。
「ええ~っ、そんなに夜遅くに! 赤ちゃんを連れまわすの、それはマズいんじゃない?! 子供も大人しくしていないだろうし、泣いたりするんでしょ? それって、他のお客に超~迷惑~~じゃん!」
「・・・だよね。ママ失格だよね」
だが、彩香が本気で反省してるようには見えなかった。朋乃は、普段から公共の場で平気で子供を騒がせてる母親に怒りを感じていた。なので、彩香にもムショウに腹立たしくなったのだ。
「朋乃だったら、ゼッタイそんな母親にはならないわ!」
とも思った。

それから、彩香からケータイのメールアドレスを聞かれ、朋乃もしぶしぶ教えて、彩香の家を後にした。


朋乃は今、打ちのめされている。確かに彩香のほんわかした雰囲気に少はし癒された部分はあったが、逆に、自然体で自分を偽らず、心からにじみ出る幸福感に嫉妬心さえ覚えた。
「彩香は、他人と比べたり、競争心をむき出しにしたり、出し抜こうとしたり、ましてはそれを覚られないようにしたり・・といったことは一切ないのだろう。朋乃のような“心の焦り”などはみじんも持っていないだろう! それが羨ましい!!」
けして、彩香の生活が羨ましいわけではないのだ。


自宅に辿りつくと、朋乃宛ての郵便ハガキが届いていた。
「私たち、結婚しました」
朋乃の元ボーイフレンドからであった。
「わざわざこんなモノ、送りつけて来なくてもいいのにィ!」 
ちょうどムシの居所が悪かったせいもあって、そのハガキを一気に破ってゴミ箱へ捨てた。
「ああ、これから“この手のハガキ”が増えてくるんだろうな~。早く朋乃が出したい! 誰よりも早く出さなきゃあ!!」

朋乃は急に現実(われ)に返った。
「不倫などしてる場合じゃないわ! いえ、自分が損するような不倫はダメ・・」

そして、朋乃のケータイから、非通知設定で丸山部長の自宅の電話番号を押した。
「ハイ、丸山でございます」
奥さんの声だった。まず、無言で切った。少し間を置いてまたかけた。
「ハイ、丸山でございます」
「旦那さんいらっしゃいますか?・・・あ、居ませんのね。失礼しました。・・・アタシ、奥さんが羨ましい・・」
朋乃は、少し声のトーンを変えて涙くんだような、か細い声で話し、切った。

朋乃は、丸山部長の奥さんに、朋乃と丸山部長の関係がバレるようなことはゼッタイにしたくなかった。 ただ、奥さんに“アナタの旦那には女が居る”とだけ、アピールしたかったのだ。
「だって、私も丸山部長も苦しんでるのに、奥さんだけのほほんとしてられるなんてズルイ! 確かにこの不倫関係においては部外者で、巻き込むのは筋違いだと言われそうだけど、奥さんがあまりにも素敵過ぎるし幸せそうなので、“少し悩めばいいんだわ!”」
と、思って実行してしまったのだ。

「おそらく、あの奥さんは賢そうな人なので、このことを丸山部長に口外せず、騒がず黙って耐えるかもしれない。あんな素敵な奥さんだからこそ、丸山部長には付加価値があり、付き合うことが誇りになるのだ」
と、朋乃は冷静に分析していた。


それから、今度は友人に電話して、久々に合コンに参加することになった。しかもその合コンはVIPな設定だ。 気合を入れて結婚相手を探そうと思ったのだ。
「丸山部長は好き! でも、彼とは結婚は出来ない。朋乃は未婚なんだから、合コンに出たって何にも悪くないわ!! 丸山部長は結婚してるから、朋乃にだって彼氏が居たっていいハズ。これで“おあいこ”よ。 ああ、今まで鬱々してたのは、自分だけが損してるって感覚があったからなんだわ。 何だか、急に元気が出てきたわ~!!」
鼻歌すら出てきたほどだった。


合コンは好感触だった。そこで知り合った実業家の彼とデートなども楽しんだ。

それから3日後に、いつもの場所で丸山部長に逢った。だが、丸山部長の顔がどことなく暗い。
「あの・・・、私たちの関係、終わりにした方が・・いいんじゃないかと思って・・」
朋乃は、丸山部長の予想外な発言に驚きを隠せなかった。


<第11話終わり、12話へつづく>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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