咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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B A B Y  D O L L ~第8話~「心を掻き乱された意外な出会い」
朋乃はたしか処女だったはず?
朋乃にも“誰にも言えないような過去”があったのでしょうか!?


※この物語はフィクションです。興味のある方は、サラッと読んでみてくださいネ。


B A B Y  D O L L


~第8話~「心を掻き乱された意外な出会い」


朋乃と上岡課長の社内での正式婚約発表された当日の退社後、朋乃は早足である場所へ向かっていた。ハイセンスなショッピング街を抜け、飲み屋街の横道へ入り、細い裏路地の突き当たりの焼き鳥の店へ入る。

何度来ても、朋乃には似つかわしくない雰囲気だと思う。そして、そのカウンターで待っていたのは、なんと丸山部長であった。

「婚約おめでとう!」
と、丸山部長はニッコリ笑って祝福した。しかし、朋乃は涙ぐんでいる。
「ここの焼き鳥は相変わらず美味しい。美味しすぎて泣けてくる・・」
朋乃は、いい男ばかり見過ぎてきたと思う。例えて言うなら、小綺麗なフレンチやイタリアンばかり食してきたような感じだ。しかし、男は見た目ではなく“味”が大事ではないだろうか。それを初めて知ったのは、今から半年ほど前のことだった。



朋乃がオフィスで丸山部長とぶつかって、間違いだらけの書類を発見し、それを手直しした後、丸山部長から「お礼がしたい」と食事に誘われたのである。

朋乃はやんわりと断ったが、丸山部長から
「待ってるから! 必ず来てよね♪」
と、ウィンクして念を押されたのだ。意外やその仕草がイヤな感じではない。これは彼の人徳なのだろう。
「丸山部長と二人で外を歩くのは恥ずかしい・・」
朋乃は、とっさに外面を気にしたのだった。
「お世辞にも顔が良いとは言えなし、太ってるし年齢も40歳近い“おじさん”だし、朋乃とは不釣合いだよ~!」
と、思ったのだ。

退社後、いつものようにお稽古事に出かけたが、それが終わると朋乃は“どうしょうか”と迷った。丸山部長から貰った、待ち合わせの店が記されてある手書きの地図を広げて見る。汚いけど人柄がにじみ出た“味”のある文字。朋乃は、くすっと笑い、いつの間に辿り始めていた。

飲み屋街の裏路地へ入り込んだ時は、不安になって泣きそうな気分になったが、突き当たりの“ゴール”に辿りついて丸山部長の姿を見た時には、思わず抱きつきたくなったほどだった。

「ゲームみたいだっただろ。ゴールおめでとう! 来てくれてありがとう♪」
「もぉ~!! 何だかイジワルされてるみたいだったぁ!」
「コレ、食ってみろよ! ここの焼き鳥、スゲー旨いんだゾ!!」
朋乃は、この状況が“信じられな~い”と思った。朋乃は焼き鳥屋なんて初めてである。ああゆう店は、品のないオヤジの行く場所だと思っていた。朋乃をデートに誘う男は、大抵小綺麗でオシャレな店へ連れて行く。しかし、焼き鳥を手に取り口に入れてみると・・
「お~~いしぃ~~い!!」
お世辞で語尾を上げたのではなく、本当に心からの声だった。
「こんな美味しいものがあったなんて! 世の中にはまだまだ知らないことが一杯あるのね」
と、朋乃は思った。丸山部長はニッコリとして
「若いのを連れて行くと、最初は皆怪訝そうな顔をするんだよ。でも、1口食べると皆顔がほころぶね! ここのはね、そこらのと違って特別なんだから! それから、ホントに旨いものは人をリラックスさせるんだよ」

朋乃は、丸山部長に不思議な感覚を覚えた。簡単に言うなら“癒し系”か。自分の全てをさらけ出してしまいそうである。

「君、クッキング教室に通っているだろ! この間、偶然見かけたんだ。パッと見今どき風の・・いかにも遊んでいそうな感じに見せてるけど、見えない所でめちゃくちゃ努力してる人だね。この間の英訳ぶりを見ても思ったよ」
そう丸山部長から言われると、朋乃はふいに痛い所を突かれた気がして、自分でも予測がつかない事態にただただ震え、ついに大粒の涙が溢れ出た。言葉にならないのだ。
「・・・ぐすん、ぐすん・・・自分のこと、認められた感じがして・・う、嬉しい・・・」
「普通はね、いかに自分が努力してるかアピールする人が多いもんなのに。君は遠慮深いのか? でも、出来無いフリ、バカなフリ・・は、ちょっと大げさ過ぎると思うけどね。君がバカでないこと位、私は知ってるけどさ~!」
「あたし、性格悪いんです。ホントはすごい負けず嫌いなの。ちょっとしたことにも負けるのがイヤなの。だから、バカだと思わせておけば、負けた時・・言い訳が立つもん」
「あはは・・、居る居る・・そういうタイプ。全然勉強してな~いとか言って相手を油断させ、ちゃっかり勝つ人! “出し抜きたいタイプ”だよね! 確かに性格悪いねぇ~~。友だちとか居ないんじゃない?」
朋乃はすっかり見抜かれた気がして、穴があったら入りたい心境になった。そう、友だちも居ないし、友だちらしき人には弱みを見せたくないので、おちおち本音もしゃべらない。しかし、丸山部長からのズバリ指摘は意外にも心地良かった。
「こんなことは初めてだ! 朋乃自身も、包み隠さず全てをしゃべりたい心境になるから不思議」
そう朋乃は思っていた。

「でも、勝ちたいもん」
「じゃあ、君は今まで勝ちっぱなしで来たわけだよね!? 勝ちとか負けとかなんていうのはね・・それぞれが大体交互に演じてるに過ぎないんだよ。負けた人も今度は勝つし、その逆もある。今まで、勝ちっぱなしで来たら、今度は連敗が来ることになるよ・・」
「・・・ホントは勝ってばかりじゃないのよ。負けを認めないだけ。あるいは負けを見せたくないだけ・・」
「どちらにしろ、勝ち負けにこだわるなんてアホらしいさ~。それに勝負するんなら、堂々と真剣勝負がいいさっ!」
またまた朋乃は痛い所を突かれてヘナヘナになった。確かに自分はいつも堂々勝負じゃないなぁとも思った。しかし、自分がこんなに突っ込まれて心地いいとは、新しい自分の発見である。朋乃はM気質だったのだろうかとも思った。
「いや、今までそういう立場になったことが無かったから、新鮮に感じてるのかも」

「かって、君に総合職を勧めたのは実は私なんだよ。人は実力を100%発揮してほしいし、正当に評価されるべきだと思うんだよ。もちろん男女に関係なくね。でも、君はそれを辞退した。いや~~、だからこそかえって興味を注がれたのだけどね」
すると、朋乃はまた涙目になった。店の大将が気を利かせて、奥の座敷の個室へ案内してくれた。
「こんなこと言ったら笑われるかもしれないけど。朋乃、自分は男だったら良かったと思う。男だったら、既婚だろうが晩年まで独身だろうが、仕事一筋で頑張ることが出来るよね。結婚すれば奥さんが身の回りのことをやってくれるし、仕事に集中出来るわ。子供が居たら、それはそれで励みにもなるし。でも、結婚しなくてずっと独身でも、それはそれでシガラミが無くてかえって大胆な仕事ぶりを発揮できるかもしれないし、それもイイと思うわ!でもね・・朋乃はね、一生独身で子供も無くて仕事一筋なんて、たとえ仕事が出来る人であっても、あくまでも自分は・・の話だけど・・、イヤなの! ゾッとするの! 仕事も家庭もほしいけど、結婚や子供って、若い時の方が得られるチャンスが多いし、早く得てしまいたいわ。30代になって焦りたくないもの。子育てが一段落したら仕事を本格的に再開したいわね。確かに若いうちに目一杯仕事はしてみたいけど、そうすると婚期を逃しそうで恐い。それを想像しただけでゾッとするの。女ゆえに葛藤するわ! 男だったらこんなことで悩まずに済むのに・・」
「へぇ~~、若い時って色々夢を見がちだけど、君は随分現実的でリアルにシュミレーションするんだな~。何でも先回りして考えてるし」
「夢のない、つまんない女でしょう」
「いやいや・・、そこが朋乃さんの良い所でもあるよ。・・で、クッキングを習ってるのは好きだから?」
「いえ・・、女は料理が上手な方が得でしょう。結婚して恥をかかないように・・」
「ははは~! そう来ると思った! ・・で、結婚出来そうな相手は現れたの?」
「・・・・それが」
朋乃は言葉に詰り、丸山部長の飲みかけの日本酒を奪ってグイッと一気に飲み干した。


<第8話終わり。9話へ続く>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

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