咲ク夜 ~妄想ライブラリー~
恋愛小説(連載・短編)他。妄想をカタチに・・危険な願望・・ フィクションの中にこそ真実があり!?
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【前世物語②】マリアンヌの罪(後編)PR記事
大変お待たせいたしました(・・待っていないって!?・笑)
シリーズものの続きをようやくUPしました☆
悲劇の結幕!最終編です。

作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?
怒涛の最終編です。


【前世物語②】 マリアンヌの罪(後編)


「へぇ~、やるわよね~。あんた、一体どういう手を使ったんだい?」
マリアンヌの母は高笑いをしながら、室内の調度品などを吟味していた。マリアンヌは母との再会を嬉しく思うよりも困惑気味だった。そして、もっかの関心事は母が連れて来た3人の子どもたちであった。子どもたちはいずれもみすぼらしい身なりをしていた。一番上と二番目の子は10代後半くらいであったが、一番下の子は未だ幼児であった。
「私らはろくに食べることもできず、瀕死寸前なんだよ。娘なら何とかすべきでないのかい」

母はお金を無心に来たのだと、マリアンヌもすぐに察した。マリアンヌは母を見下すようにして数枚の金貨を渡した。マリアンヌは一番下の子に微笑みかけ触れようとすると
「何するんだい! その子は渡さないよ!」
母は人身売買と勘違いしたようであった。

→続きはコチラから
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テーマ:自作恋愛連載小説 - ジャンル:小説・文学

【前世物語②】マリアンヌの罪(中編)予告編
【10.6/2.新作UP】

【前世物語②】マリアンヌの罪(中編)

作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?

(中編):時は中世フランス。
     母に捨てられ10歳で修道院へ入れられたマリアンヌだが、意外やその世界に馴染んでいた。
     だが、20歳で人生に疑問を感じ思い切った行動に出る。

     流転する人生。
     愛、欲望、罪悪感・・新たな展開と潜む悲劇に未だ気づかず・・さて!

テーマ:オリジナル小説 - ジャンル:小説・文学

【前世物語②】マリアンヌの罪(前編)予告編
【10.5/16.新作UP】
【前世物語②】
マリアンヌの罪(前編)

作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?

(前編):時は中世フランス。
     母に捨てられ10歳で修道院へ入れられたマリアンヌに待ち受けていたものは・・

テーマ:スピリチュアル - ジャンル:心と身体

【前世物語①】モロッコの悲愛 ~一夫多妻から純愛へ~
作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?


【前世物語①】モロッコの悲愛 ~一夫多妻から純愛へ~


果てしなく続く砂漠の中に忽然と現れる集落。今から数百年前のモロッコのとある街に、砂ぼこりが風に舞う度、咳き込む男が居た。それは、おそらくその男の持病であろうか。男の名前はマサラと言った。中肉中背で、黒髪、浅黒い肌、アラブ系の人らしく彫りの深い顔立ちの中年男だった。ベールのようなものを頭から被り、革の靴を履いていた。

場面が切り替わった。
喧騒の街。入り組んだ迷路のような路地。気が遠くなるようなモザイクタイルの道と建物。同じ道を何度も行ったり着たり。嗚呼~、人生そのものが迷路なのかもしれない。

その路地の突き当たりにマサラの家があった。
パティオ(中庭)のある家に住んでおり、裕福層の証だった。部屋には、ピンクや赤や様々な文様の鮮やかな布が飾られていた。特に、様々な色のシースルーの絹の布が何層にも重なる様はたいへん美しく、この世のものとは思えない幻想的な世界をかもし出していた。

マサラは布を扱う商売をしていた。
現代でいうアパレル産業であろうか。商売はうまくいっていた。

マサラが最も栄華を誇ったと思えた時代の風景。
縦長の大テーブルで、大人数の家族が楽しそうに食事をする。沢山の子どもたちの笑い声が絶えない・・

大人数の家族? 沢山の子どもたち?
・・そう。マサラの家庭は一夫多妻の形態をとっており、妻は数人居た。そして、その妻たちに産ませた子どもたちが大勢居たのだ。

この国のこの時代、一夫多妻はめずらしいことではなかった。
何故、マサラは一夫多妻の形態を選んだのか? 女好きだったからか? いいえ、マサラの答えは“人助け”だった。この考えは、おそらく女性たちから理解されないだろうと思うが・・

この時代は貧富の差が激しく、マサラは、救済の意味で貧しい家の女性たちを積極的に輿入れさせたのだ。マサラは妻たちを平等に扱うために、正妻と愛人との区別をつけなかった。女性たちは、全員“妻”の身分だった。
第1夫人、第2夫人・・との呼称はあったが、単に輿入れの順番であった。

夫婦関係はどうだったのだろうか? 
妻たちには、いつもきらびやかな衣裳を身につけさせていた。だが、マサラが言うには、「愛は無かった」。ただ、“情”のようなものはかろうじて存在していた。では、マサラにとっての家族間の幸福は?と言うと、それは“子ども”の存在だった。全員の妻に、マサラとの子どもが存在していた。子どもは全員、無条件に可愛がっていた。そしてマサラは、「女は、子どもを産み育てることが最も幸せなことだ!」と信じて疑わなかった。


それから数年経って、人生の大転機が訪れた。

マサラの商売が破綻したのだ。マサラが40代の半ば位の時だった。
マサラは破綻の原因は自分にあると、激しく自分を責めていた。マサラは、数人の仕事仲間から激しく責められ、全ての責任を自分が取る形になった。

家庭の方も破綻した。マサラは妻たちに財産を平等に分け与え、実家へ帰した。
一家離散ということになってしまったのだ。この時、妻の中には怒り狂う者も居た。そして、妻の中で誰一人としてマサラの傍には残らなかった。「やはり“金品”で繋がった関係だったのか・・」と、マサラは寂しく想うも、何も言える立場ではなかった。ただ、子どもたちに対しては、「申し訳ない・・申し訳ない・・」との気持ちで一杯であった。

マサラは無一文になり、おまけに持病の“咳き込む病気”が悪化し病に伏せてしまった。人生最大の不幸の中、孤立無援だと思われていた。

だが、何と、マサラの病床の傍でかいがいしく看病している若い美しい女性が居たのだ。マサラが破産してから出会った女性だった。マサラと女性は親子ほどの年齢差があったが、“恋愛関係”であった。

皮肉にも、マサラは無一文になってから“本当の愛”を知ったのだ。

「世の中に、こんなにも優しい女性が居るなんて・・」
マサラは女性のことを女神のように崇めていた。そして、女性も方もマサラに惜しみなく愛を与え続けた。まさに相思相愛だった。貧しいながらも、幸せを感じて暮らしていた。

しかし、どんなに愛し合おうとも、二人は肉体的に結ばれることは無かった。何故なら、マサラの病状はかなり酷く、それどころではなかったからだ。それが、マサラに辛い気持ちにさせた。女性は、「気にしないで」と、優しく微笑んでくれたが、逆にマサラは男として情けない気持ちになった。愛は素晴らしいが、愛してるがゆえに辛くなるという気持ちも知った。

月日が経ち、マサラは、いつまでも温もりにつかっていてはいけないと思い始めた。女性は、そろそろ結婚を考える年齢だ。マサラは女性の将来の幸せを考えたら、「いつまでも、こんなショボクレたオヤジと一緒にいてはいけない・・」と、思い始めたのだった。

マサラは女性に別れ話を持ちかけた。
しかし、女性は激しく拒んだ。「あなたとずっと一緒にいたい」と言った。マサラは、女性の中の激しさと頑固な一面を知って驚いたが、それは嬉しくも感じた。しかし、マサラのかっての価値観である“女性は結婚して子どもを産んで育てるのが一番幸福だ”との想いがよぎり、今のマサラでは、「それは叶えてあげることが出来ない」ため、女性を幸せにしてあげることは出来ないと思ったのだ。マサラは女性によって、どん底から救われた分、女性を幸せにしなければ!との想いが人一倍強かった。

マサラは何日も何日もかけて、ゆっくり女性を説得していた。
「あなたは若い。これから幸せにならないといけない。あなたは、誰かと結婚して子どもをもうけて幸せに暮らしてください。今は辛くとも、長い年月が経ったら、やはりこうして良かったのだと分かる日が来るでしょう」
そして、女性の方もマサラの気持ちを少しずつ理解していくようになった。

そして、ついに別れる日が来た。
マサラは、身がえぐられるように辛かった。
本心は別れたくなどなかったのだ! 
ずーっと女性を傍においておきたかった!
別れた後、マサラは泣き崩れていた。


数年後、マサラは信仰に拠り所を求めていた。
マサラは、人の為にひたすら祈る人生をおくった。
かって愛した女性の幸せを・・
離散した妻たちと子どもたちの幸せを・・

その後は生涯独り身で、祈りながら生涯を閉じた。
亡くなった先は、宗教施設の礼拝堂の中で、誰からも看取られずに“孤独死”だった。しかし、マサラは想っていた。
「わたしは神に看取られて死んでゆく」
礼拝堂の美しい天井画を眺めながら
「この美しい世界へと旅立つのだな」
と、幸福感に満ちて永遠の眠りについたのだ。

<終わり>

テーマ:物書きのひとりごと - ジャンル:小説・文学

【前世物語②】マリアンヌの罪(後編)
作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?
怒涛の最終編です。


【前世物語②】 マリアンヌの罪(後編)


「へぇ~、やるわよね~。あんた、一体どういう手を使ったんだい?」
マリアンヌの母は高笑いをしながら、室内の調度品などを吟味していた。マリアンヌは母との再会を嬉しく思うよりも困惑気味だった。そして、もっかの関心事は母が連れて来た3人の子どもたちであった。子どもたちはいずれもみすぼらしい身なりをしていた。一番上と二番目の子は10代後半くらいであったが、一番下の子は未だ幼児であった。
「私らはろくに食べることもできず、瀕死寸前なんだよ。娘なら何とかすべきでないのかい」

母はお金を無心に来たのだと、マリアンヌもすぐに察した。マリアンヌは母を見下すようにして数枚の金貨を渡した。マリアンヌは一番下の子に微笑みかけ触れようとすると
「何するんだい! その子は渡さないよ!」
母は人身売買と勘違いしたようであった。
「あんた、お世継ぎは出来たのかい?ハハハ~、金持ちも大変だね~! 出来ないから、この子がほしいんだろう。でもこの子は絶対に手放さないよ。だって、あたしの子の中で一番可愛いからさぁ~ふふん」
マリアンヌは母のこの言葉にカチンと来た。そして、母に捨てられた過去などが走馬灯のように蘇ってきたのだ。
「何故、このようないいかげんな女に神はポコポコと子を授けるのさ!」
マリアンヌは悔しさで泣きそうになりながら心の中で吐き捨てた。そして、母には定期的に送金をするからと約束をして、母たちを追い出した。


母の訪問以来、今まではぼんやりとしか考えていなかったお世継ぎ問題が現実味を帯びて浮上し、マリアンヌは心を掻き乱される苦しい日々を過ごしていた。そして、その問題をなるべく忘れようとするために領主の仕事を積極的に手伝った。自分たちの領土の生産率を上げ領民の生活を向上させるため、夫婦で一丸となって仕事に奔走していた。だが、仕事に疲れると、つい母の言葉を思い出してしまうのだ。
「金持ちはいいよね~! あ~あ、私も金持ちの男を捕まえて贅沢してみたいよなぁ~」

「金持ちには金持ちの苦労があること! 分かろうともしないで! 私たちが忙しく働いてる間にも、あの女は私のお金で男と遊びほうけているに違いないわ~!」
マリアンヌは沸々と沸き起こる気持ちを静めようとして、“心を静めるハーブティー”をつくってもらい一気に飲み干した。

貴族の夫人たちで定期的に開かれるサロンも、次々と新しい形が取り入れられるようになった。最初は女たちばかりの密談という形式であったのが、しだいに音楽家や舞台作家などの芸術家の男性を多数招くようになり、色めき立ったものになっていった。近年流行していたものに“マスカレード(仮面舞踏会)”というものがあった。マスカレードは仮面を着けて座談会や舞踏会を行うというもので、普段なかなか本音を話せない貴族たちの間であっという間に浸透していった。

社交術が苦手だったマリアンヌも、仮面を着けると不思議と会話が出来るようになり、その楽しさを覚えて頻繁に足を運ぶようになった。そして、男と女のウィットな会話も楽しめるようになっていった。しかし、どんなに口説かれても肉体関係に持っていくことは避けようとしていた。
「会話の上でラブアフェアを楽しむだけ」
“不倫はスマートにせよ”という貴族の掟を頑なに守ろうとした。かって修道女だったマリアンヌには“罪悪感”という概念が強く、それが暴走を防ぐ手立てになっていたのだ。


日々が過ぎてゆき、マリアンヌは30代の半ばにさしかかろうとしていた。領主の提案で、お世継ぎは養子をたてようと動き始めていた。マリアンヌもその提案を受け入れつつ、しかし、どこか諦めきれない想いをも抱いていた。何故なら、自分の母がこの位の年齢でも子どもを産んでいたからだ。
「ひょっとしたら・・まだ・・いけるのかもしれない・・」
マリアンヌは年齢的に最後のチャンスだと思っていた。できれば自分で産んで、領主らを喜ばせたいと思っていた。

「そろそろ母に送金する時期だわ・・」
マリアンヌはとうとういてもたってもいられなくなった。領主はしばらく留守である。マリアンヌはいつもよりも念入りに着飾って馬車を走らせ、マスカレードの会場へ向かった。そして、マリアンヌはかねてから口説かれていた男性の想いを受け入れるむねを伝えた。男性は驚いていたが、お互い仮面を着けたまま別室へ消えていった。

「母だって、いつも男にだらしなく、父親が誰かも分からないような子を次々と産んでるわ。・・だから、普段真面目に生きている私が少々なことをしたって・・罰は当たらないハズよ」
マリアンヌは心の中で煮えたぎっていた。その想いが大胆な行動へと走らせてしまったのだ。


数日後、マリアンヌは領主に刺されて死んでしまった。

マリアンヌは、魂が肉体からスーッと抜け出すのを確認し自分の亡骸を天上から眺め、死んだことをすぐに覚った。

「ごめんなさい。悪いのは全て私です」

領主は、マリアンヌの亡骸にすがりつき大声を上げて泣き叫んでいた。領主はついカッとなってやってしまったことに、いつまでも後悔していた。



<母の想い>

送金とともに娘の訃報も知らされることになったマリアンヌの母は、裏通りの酒場で一人酒に浸っていた。
「本当にあの子は・・、昔っから要領の悪い子だったよ。何で・・もっと上手くやれなかったのさ! 本当にツメが甘いんだから!」
「娘の金で飲んでおきながらよく言うよ! 今日という今日こそは、ツケを全部返してもらうからねっ!」
酒場の店主の老婆は眉間に皺を寄せながら、厳しい口調でマリアンヌの母をなじった。母は遠い目をしながら、回想を始めた。

-----------

マリアンヌよ、子どももつくらずに結婚ができて夫婦関係も保てるなんて!いったいどうしたらそんなことが可能なのだい。・・愛されていたんだね。すごいね。そんなこと、母には真似できないことだよ。母はいつも愛される為に必死だったよ!なのに、男はいつも逃げてゆく。永遠の愛を得るには、むしろ子どもなんて・・つくらないほうがいいのだろうか?

けど、マリアンヌ、あんたが出来たときの悦び、あれは本当に幸福だったんだよ。あんたの父もたいそう喜んでくれたよ。お腹に宿ってからは、あの人(父)もこれまでになく優しく接してくれたし、何より“愛”を実感することができたのさ! ホラ、愛ってカタチの無いものだろ。その愛をダイレクトに体感できるのが妊娠だと思っていたし、愛の結実だとも思っていたのさ。しかし、それは単なる錯覚なのかい・・・?

修道院へ入れたこと、さぞかし怨んでいただろうね。たしかに、母としては酷い仕打ちだよ。しかし、幸福になりたかった。いつまでもこんな貧しい生活をマリアンヌにもさせていたくはなかったし、できれば皆が幸福になれるのが望ましいと考えた。今度こそちゃんと結婚をして、この悲惨な生活から脱さなければ・・と母も必死だった。

愚かな話だと思うが分かっておくれ。マリアンヌはちゃんとした身なりをすればかなり器量のいい子なのだよ。日増しに美しく成長してゆく。だからこそ怖かった。新しい父がマリアンヌに手をかけてしまわないか・・考えただけで身震いがしたのさ。マリアンヌだけは、母と同じ人生を歩んでほしくはなかったのだよ!早い時期から男を知り、男から男へ渡り歩くような人生にはさせたくない。それは幸福から遠のくことだから。母とは正反対の折り目正しく清らかな女性として生きてほしかったから、修道院へ入れたのだよ。孤児院へは入れたくなかった。あそこは人身売買が横行してるから、マリアンヌのような子はすぐに標的にされちまうだろう。

分かってくれるか? ・・分かってはくれないだろうなぁ。これでも精一杯の母の愛のつもりなのだよ。あの子を魔の手から守ってやりたかった。男にいいように汚されるだけの悲惨な人生にだけはさせたくなかった。

修道院の生活は辛かったであろう。しかし、その生活のお陰で貴族と結婚することができたのではないのかい? でも、修道院が辛かったら、いつ逃げ出してもいいと母は思っていた。やっぱり逃げ出したようだけど、それでこそわが娘だよ! あんな所、いつまでも居る所じゃないよ。生きるためには、利用できるものは利用しなくっちゃ!

久しぶりにマリアンヌに会えたときは嬉しかったよ。綺麗だったなぁ。ルビー色のドレスが似合っていて、気高くてわが娘ながら眩しかったよ! けど、あんたは迷惑そうだったね。まあそりゃそうだろう。娘に頼らなきゃならないことほど情けないことはなかったけど、子どもも抱えてるし色々と言ってられない。会える口実ができると思って喜んだよ。まさか定期的に送金してくれるようになるとは思ってもみなかったよ。そんなことは、さすがに頼めないと思ったからさ。やっぱりなんやかんや言って母のことを想ってくれていたんだね。優しい子だよ。しかしその優しさが仇になるなんてねぇ・・

しかし、不思議なもんで、金持ちほど子どもってのは出来にくいものなんだねぇ。いいもん食ってただろうに。母なんか食うものも満足に食えないのに、次々出来ちまうよ。今思えば、一番下の子をマリアンヌにあげとけばよかったよ。マリアンヌのことを好いていたし、この子もそのほうが幸せだったかもしれないし。・・なにより・・マリアンヌが死んじまうようなことには・・ならなかったかも・・しれないのに・・

ああ~、これから・・どうやって生きていけばいいんだよ・・・



そう言って、マリアンヌの母は泣き崩れていた。
「アンタは、どうしていつも人から幸せにしてもらおう・・って考えるのさ! 男からも、子どもたちからさえも!」
酒場の隣のカウンターで飲んでる男がそう声をかけてきた。
「あたしの話聴いていたのかい!」
「ワシは、アンタを幸せには出来んぞ! ただし、いい話だったからここはワシが奢る」
男はマリアンヌの母の肩に手をまわした。母は女の顔になって男の肩にもたれ掛かった。

<END>

テーマ:恋愛小説 - ジャンル:小説・文学

【前世物語②】マリアンヌの罪(中編)
作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?


【前世物語②】 マリアンヌの罪(中編)


夜も白々と明ける頃、マリアンヌは一人セーヌ川のほとりをとぼとぼと歩いていた。
「取り返しのつかないことをしてしまった! でも、もう後には引けないわ」
修道服ではなく、粗末な継ぎ接ぎだらけの木綿のワンピースを身に纏い、何処から見ても“町娘”といったいでたちであった。マリアンヌは修道院を脱走したのだった。

その後、マリアンヌは路上で声をかけてきた中年男と一緒に暮らした。男の名をジョーと言った。マリアンヌはジョーに抱かれ“女”になった。
「一度でいいから恋がしたい! 性行為というものをしてみたいと思っていた。一生涯恋のない人生なんて嫌だ!なんて思ってしまったわ。ああ~、嫌だ。わたしにはやはり母と同じ血が流れているんだわ」
ジョーはマリアンヌの生い立ちを聞いて驚いていた。
「何て酷い母親なんだ! 自分は好き勝手に散々“女の悦び”を謳歌しておきながら、娘にはこんな辛い想いをさせて! 逃げてきて正解だよ。ああ~、アンタ、こんなに細い体・・可哀相に。修道院ではロクに食べさせてもらっていなかったんだね」
そう言ってジョーはスープをこしらえに行った。ジョーは料理が得意で面倒見の良い男だった。
「あんなに憧れていた性行為だったけど、やってみたら思ったほどでもなくて“こんなもの?”って思ってしまったわ」
マリアンヌは、生きてゆく為にジョーに恩を感じ慕っていたが、恋愛とは違うものだろうと思っていた。


それから数年が経ちマリアンヌは領主の妻になっていた。

領主と恋に落ちたが、マリアンヌは自身の身の丈をわきまえていたし“愛人”の立場で結構だと思っていた。だが、領主の強い希望で“正妻”として迎えられたのだ。

正妻になれた理由として、小さい頃から修道院で過ごしてきたお陰で、読み書きはもちろん、礼儀作法、聖典の知識、忍耐強さを身につけていたからだろうと自己分析していた。
「私は貴族の女は自己主張が強く傲慢で好きになれない。マリアンヌのような控えめで素直で純粋な女が好きだ」
領主はそう言い、本来なら貴族の娘と政略結婚する予定を突っぱねてまでマリアンヌを選んだのだ。領主の母親も最初は結婚に反対したが、マリアンヌの人柄に好感を持ち序々に認めていったのだった。

マリアンヌは懸命に貴族社会に慣れようと努めていた。連日のようにパーティが続いたが、マリアンヌはパーティが苦手だった。慣れない世界で緊張して楽しめる余裕など全くなかったのだ。パーティよりも一人で本を読む方が好きだった。しかし、そんなマリアンヌの気持ちをよそに、領主は何処に行くのもマリアンヌを連れ立って行った。マリアンヌは、磨かれてドレスの似合う美しい女性に成長していた。それが領主にとっても自慢だったのだ。マリアンヌの控えめな性格は、意外や貴族たちからの評判が良かったのだ。

領主と共にパーティ会場へ出かける途中、マリアンヌは馬車の中から見えた景色に突然の息苦しさを覚えた。それは、自分が10歳から20歳で脱走するまで生活していた大聖堂が目の前にそびえ立っていたからだ。修道女たちの姿が目に入って来ると、強い罪悪感にさいなまされた。修道女たちは一生涯、ドレスにも美味しいご馳走にも愛し愛される歓びにも縁がないのだ。そう思うとマリアンヌは申し訳ない気持ちになった。特に、女として愛される歓びを知らずに生きるなんて
「なんて可哀相!!」
だと思っていたのだ。

修道院に居た頃、修道院の生活に不平不満を愚痴る人も少なくなかった。
「不満ばかり言うくせに何も行動を起こそうとしないじゃない」
かってマリアンヌはそんな人たちにイラ立ちを覚えていた。嫌になったから脱走したという明確な理由で行動を起こしたマリアンヌは、自分で人生を切り開いたという自負があった。
「自分は間違っていない」
そう言い聞かせていた。神様からの天罰が下るだろうという罪悪感な思いより、修道女たちの鬱積とした“呪い”の方が怖いと震えてしまうのだ。

マリアンヌは気を取り直してパーティを楽しもうと思ったが、相変わらず社交術が不得手で心底楽しめないでいた。常に食事やダンスなどの作法が間違っていないか気を使うばかりだった。上っ面なことばかりを言う会話も苦手だった。
「今は、修道院よりは自由な世界に生きてるのかもしれないけど、貴族社会も窮屈で修道院とたいして変わらないかもしれないわ」
マリアンヌは声にならない声を発していた。
「貧乏上がりのクセに!」
貴族たちの中から中傷を浴びせられることも多々あったが、マリアンヌはそのことに対してはあまり気にならなかった。その通りだと思っていたし、それに数は少ないが“仲間”の存在があったからだ。

この時代フランスは確かに貧富の差は激しいが、一方で庶民の娘から貴族社会へ見初められて“成り上がる者”も少なくなかった。貧しい生まれだが、美貌と手腕のみで国をも動かす位の権力を振るう女傑さえも存在していた。マリアンヌと同じ境遇の夫人同士で集まってサロンを開いては、情報交換をしたりストレスを発散させていたりしていた。

サロンに集う夫人の中には、第2夫人、第3夫人などの“愛人”の立場にある人たちも少なくなかった。だが、このサロンでは正妻も愛人も関係なく分かち合っていた。何故そんなことが出来るのか? 貴族社会においては、正妻の立場にいる人は“夫に愛人が出来た位でガタガタ騒ぐのは往生際が悪い”と教育されていたからだ。正妻には正妻のプライドが有り“愛人?別にどうってことないわよ”という態度を示すことが多かったのだ。だが、正妻だろうと愛人だろうと心に潜む辛さは同じであり、そこの部分は女性同士分かち合えることが可能だった。もしかしたら、貧しい境遇の出身同士だからこそかもしれないが、実際には正妻対愛人の激しい対決が見られることもあった。

「お世継ぎ問題がね、重くのしかかっているわ・・」
最近のサロンでの話題である。マリアンヌとて例外ではなかった。嫁いで数年になるが一向に懐妊の気配がなかった。しかし、意外と疎外感なく過ごせていたのだ。何故なら、貴族の夫人には子どもに恵まれない人が何故か多かったからだ。ようするに“仲間”が多かったのだ。だが、正妻に子どもが出来なければ愛人につくってもらうというのも貴族での掟だった。

マリアンヌは思い切って領主に言ってみた。
「嫁いでかなり時間も経つけど、一向にお世継ぎに恵まれません。そのことがとても心苦しいのです。どうか、愛人をつくってお世継ぎをもうけてください。お願いします」
すると、領主はやや怒ったような口調で言った。
「何を言ってるんだマリアンヌ! 私は愛人など持たぬぞ!!」
「な・・なぜ・・です?」
「私はマリアンヌを愛しているのだ! ただそれだけだ!!」
領主は荒々しい物音を立てながら部屋を出て行った。領主の言ったことは本当で、それから後も愛人を持つことは一切しなかった。

ある日、サロンの常連だった夫人が全く顔を見せないようになった。噂によるとその夫人は懐妊をしたらしいのだ。だが、嫌な噂が蔓延していた。
「あの人、ずっーとできなかったのにさ、あの年で突然だよ! なんかオカシイわよ」
「夫の子じゃないらしいわ。あ、ここだけの話よ」
「あの人も、“その手”を使ったのね」
“その手”とは、近年の王家又は貴族社会で密かに流行ってることで、夫人が夫以外の男から“種”を貰い、懐妊を試みるという方法だ。王家もその方法をつかって危機を脱したと噂になっていた。不妊治療など無かった時代、積極的にお世継ぎをつくる方法は、まず妊娠しやすいと言われるハーブなどを服用することだった。それでもダメなら、夫の愛人に産ませるというのが一般的だった。だが、全ての貴族の男性が“やり手”というわけでは無かった。中には女性に消極的な“甲斐性なし”の夫もおり、よく言えば“優男”なのだが、このままでは子孫を残せないと危機感を持った夫人たちが、こぞって思い切った行動に出たりしたのだ。

マリアンヌを始め、他の夫人たちも興味本位に聞き入っていたが
「そんな、そら恐ろしいこと、絶対に無理だわ!」
そんな風に一致していた。

パーティなどではマリアンヌも他の男性から口説かれることが多々あった。貴族社会では“不倫はスマートにせよ”との掟もあった。もちろん表向きは不倫などご法度なのだが、隠れていそしむ人たちもかなり存在していた。マリアンヌはラブアフェアが不得手なため、口説かれてもいつもやんわりと断り続けていた。


月日が流れ、突然の訪問客にマリアンヌは驚愕していた。

10歳で生き別れになった母と、母の子どもと見られる3人の子どもが目の前に立っていたからだ。

<中篇終わり、後編へ続く>

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【前世物語②】マリアンヌの罪 (前編)
作者のsakuyaが前世療法を受けた時に見えたストーリー。
これは、ノンフィクションか? それともよくできた幻覚(ファンタジー)か?


【前世物語②】 マリアンヌの罪(前編)


時は中世フランス。

セーヌ川のほとりは、洗練された街並みだが、一歩路地裏へ入るとそこは悪臭に満ちていた。そんな貧民街でマリアンヌは私生児として産み落とされた。マリアンヌの母は男出入りが激しかった。
「男を繋ぎとめるためにアンタ(マリアンヌ)を産んだのに! この役立たず!!」
そう言って母はマリアンヌを罵倒した。だが、肝心な男の心を繋ぎとめることは出来なかったようで、マリアンヌは物心ついたときから“父親”の存在を知らなかった。そんな母の言葉聞いてマリアンヌは思っていた。
「へぇ~! そんな考え方もあるんだ~! 男を繋ぎとめるために妊娠して男の子どもを産む。そんなやり方もあるのね~!」
マリアンヌは恐ろしいくらいに冷静な子どもだった。
「アンタを産んでおくと何となくお得な気がしたのよ! だから産んだのさ! ハッハハハ~」
母は自嘲気味に笑ったが、冷静なマリアンヌにもその言葉の意味はよく分からなかった。

母が男を連れ込む度に、マリアンヌはこっそり家を出てセーヌ川で一人遊びをしていた。周囲はカップルでいっぱいだった。そんな中、糞尿を川に捨てる者も居た。熱い男女の抱擁と糞尿の悪臭が混在する世界に、幼いマリアンヌはくらくらしていた。だが、次第にそんな光景にも慣れていった。

母は男とうまくいかないとヒステリックに怒鳴りちらしていた。が、貧しい暮らしの中でパンが手に入ったりすると、母は幸福そうに笑いマリアンヌにも優しかった。そんなひとときがマリアンヌは好きだった。どうしょうもない性格の母ではあるが、マリアンヌは母の傍にずっと居たいと思っていたし、かけがえのない存在だと思っていたのだ。


マリアンヌが10歳になった頃、母に連れられてセーヌ川のほとりにある大聖堂(教会)に来ていた。
「すっ、すごーい」
マリアンヌは教会の建物の内装の豪華さに無邪気に歓声をあげていた。そして、やや年配の修道女と引き合わされたのだ。マリアンヌは修道女の柔和な微笑みにえも言えぬ安らいだ気持ちを覚えた。

だが、マリアンヌはすぐに事態を察した。母はマリアンヌを捨てようとしていたのだ。母は最近付き合い始めた男と結婚をするために、マリアンヌを教会に預けようとしていたのだ。しかし、マリアンヌはあっさりと教会行きを決断した。
「教会へ行く方がマシなような気がしたからよ。仮にごねて母の男の元へついて行ったとしても、幸せになれっこはないと思うわ!お荷物になるだけだし。母と離れ離れになるのは辛い。だけど、教会で暮らしてみたいわ! 修道院のおばさんもすごく優しそうな人だったし」


次の日から、マリアンヌは修道女の修行の日々が始まった。しかし、マリアンヌはそれを嫌だとは思わなかった。文字の読み書きを覚え、夢中で聖典を読みふけった。清掃や数々の奉仕活動も嫌がらずに取り組み、むしろ喜びを見出していた。パンと水と時々チーズが付くだけの貧しい食事ではあるが、毎日食べられるだけで幸せなことだと思っていた。母と暮らしていた日々とは全く違い、全てが新鮮で輝やかしかった。

修道女たちの生活は結構忙しい。毎日神に祈りを捧げているだけのゆったりした生活だと思われているが、とんでもない。おびただしい数の聖典を読み勉強し伝道活動をしたり、ハーブや伝承医学を施して多くの人々を救いに導いたり。又、縫い物や刺繍をしたり、パンやチーズや保存食を作り売ったりして、それらは修道院の収入源ともなっていた。さらに、教会と併設の孤児院などの子ども達の世話もあったので、朝早くから夜遅くまで働きづめで睡眠も満足に取れないくらいだった。もちろん、祈りや儀式の時間も欠かさなかった。



慌しく日々は過ぎ、マリアンヌは17歳になっていた。

ある日、お使いを頼まれてセーヌ川のほとりを一人で歩いていた。外を出歩くのは久しぶりで羽をのばしたような気持ちになっていた。周囲は愛を交歓しあうカップルで一杯だった。マリアンヌはその光景を微笑ましく眺めならがも、どこか羨ましさが募ってくるのを隠せなかった。通常なら、マリアンヌとて恋の1つや2つ覚える年齢であろう。しかし・・
「私は修道女だから!!」
キッパリと言い放ち、背筋を伸ばして周囲を見ないようにして早足で歩き始めた。

修道女(士)は、基本的に恋愛・結婚・性交渉はご法度である。しかし、マリアンヌも年を重ねるごとに修道院の嫌な部分も見えてくるようになった。恋愛は禁止と言われながら、“恋心”をつらつらと語る修道女も少なくなかった。ただ、この場合は片想いのみが殆どだったのでまだ良かった。だが、中にはこっそり性交渉まで持つ者も居て、周囲は見て見ぬフリをしながらも興味本位な噂話になっていた。

修道女の模範生と言われていたマリアンヌは、こういう類の噂話は大の苦手だった。潔癖な性格もせいもあったが、“いいかげんな人間”を知ると母を思い出し嫌な気分になるからだった。マリアンヌは母のようにはなりたくないと思っていた。しかし、実際には恋愛に憧れる気持ちも少しは持っていたが、その気持ちは抑える方向へ持っていった。


日々が経ち、マリアンヌが20歳になった頃、今までの働きぶりが認められ修道女として“高い位”が与えられると言う話が持ち上がった。

だが、マリアンヌは素直にその話を喜べず、考え込んでしまったのだ。
「修道女の仕事は好きだし、やりがいもあると思っている。でも、その“位”に就いてしまったら・・、もう一生・・本当に一生涯・・神に捧げる人生となる。本当にこれでいいんだろうか?」
マリアンヌは1度こうと決めたら貫きたい性格である。マリアンヌは、生涯恋愛も結婚もせずに本物の修道女の道へ進むという方向に、迷いを感じ始めていた。

マリアンヌは生まれて初めて“迷い”というものを知った。母から修道院へ連れて来られた日ですら、一寸の迷いもなく鮮やかに決断したものだったのに。迷いにさいなまれる苦しい日々が続いたが、とうとう決断を下さなければならない日が近づいた。

<前編終わり・中編へ続く>


テーマ:心、意識、魂、生命、人間の可能性 - ジャンル:心と身体





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